高嶺の花には彼氏ができない！？

第10話：秘密の花言葉

「今日は疲れただろうからゆっくり休むんだよ」

「うん。お兄ちゃんもおやすみなさい」

「おやすみ」

お兄ちゃんにおやすみの挨拶をし、

部屋に着くなり、すぐにスマホを取り出して向日葵の花言葉を調べ始めた。

そして、

検索結果を見て、心臓が少し早くなった。

「向日葵の花言葉は…『憧れ』『あなただけを見つめる』『崇拝』そして、向日葵が一本だと…」

"一目惚れ"

顔が一気に赤くなった。

出会った時、

"他の人とは違う"とは言われたけど…

もしかして、そういうことだったの…？

蒼大がこの花を選んだ理由が、もしかすると自分に対する特別な気持ちを表しているのかもしれない。

そう考えると、胸がドキドキしてきた。

「でも、もしかしたら…」

ベッドに腰を下ろし、スマホを見つめながら自問自答を始めた。

「もしかしたら、ただ単に蒼大が向日葵を好きだから選んだだけかもしれないし…」

でも、それなら花言葉を調べてみて。

なんて言わないか…

いや、でも確信はまだ持てない。

蒼大のことを思い出しながら、彼がどんな気持ちでこの花を選んだのかを考え続けた。

「でも、もし本当に私に特別な気持ちがあるなら…」

蒼大が私の事を…

好き…？

心の中でその可能性を考えながら、少し照れくさくなった。

"美月"

安心する蒼大の声…優しい笑顔…いつも自分を気遣ってくれる姿…

蒼大のことが頭に浮かんできた。

蒼大のことは大事な友達だと思っていたけど、知らない間に…

それ以上になっていたのかもしれない。

他の人とは違う感情。

これが恋なら…

蒼大の気持ちが自分に向けられているのか、それともただの偶然なのか、確かめる勇気がまだ持てなかった。

「どうしよう…」

深呼吸をして、心を落ち着かせようとした。

…電話をして確認してみようかな、

いやいや。

もしかして、私の事好きなの…？

なんて恥ずかしくて聞けない。

それに、もし違うかったら…

もう二度と蒼大とは顔を合わせられない。

蒼大の気持ちを知りたいけれど、同時にその答えが怖くもあった。

「もう少し、様子を見てみようかな…」

そう決心し、スマホを置いてベッドに横になった。

私が蒼大のことをどう思っているのか分かってしまった以上、いつも通りに接することは難しいかもしれない。

私の気持ちがバレないように、悟られないように気をつけよう。

…特に、お兄ちゃんに。

向日葵の花言葉が示すように、蒼大の気持ちが自分に向けられているのかもしれないという希望を胸に抱きながら、ゆっくりと目を閉じた。