第9話:向日葵の秘密

花言葉…花言葉…


「ねぇ美月ってば!」

「あ、ごめん、」


「もうっ!さっきからずっと呼んでるのに!蒼大くんと何かあった…って、もしかしてそれ」


手に持っている向日葵を発見して、ニヤニヤした表情を向けた。


「あ、うん。蒼大がくれた」


蒼大からもらった向日葵を見つめながら、心の中でその意味を考えていた。


蒼大が何を伝えたかったのか、花言葉を調べてみるように言われたことが気になって仕方がなかった。


そうだ、歩乃華なら向日葵の花言葉知ってるかも。


「綺麗だねぇ、」

「そうだね」


うん。知らなさそう。


「美月それ…」

「あ、お兄ちゃん。うん。これ蒼大がくれたの」


「…その時、何か言われた?」

「え?」


何かって…


“花言葉調べてみて”


お兄ちゃんは何か分かったのかな。


「いや、何でもない」


なんでもないって顔じゃないけど…


どうしてそんなこと聞くのか気になって聞いてみようと思ったけど、


「美月ー!蒼大くんと並んで!写真撮ってあげるから」


「写真?」


「早く早く!」

「あ、うん」


少し戸惑いながらも、蒼大の隣に立った。

蒼大は何もなかったかのように、微笑んできた。


微笑み返したけど、心の中では蒼大が向日葵を選んだ理由を考え続けていた。


「いやぁ楽しかったね」

「ふふ、そうだね」


歩乃華も楽しんでたみたいでよかった。


蒼大とは方向が真逆なので、三人で帰ることになった。


「そういえば、何で向日葵なの?向日葵が1番好きだからとか?」


どうして向日葵なのか不思議そうだ。


私も。気になる。


「いや、私が一番好きなのは、バラだけど…最後に行った場所が向日葵だったから、かな?」


「ふーん」


私の回答がつまらなかったのか、スマホを触り始めた。


「…ねぇ美月」


と思ったら、また話しかけてきた。

「ん?」


「向日葵の花言葉何か知ってる?」

「え、知らないけど、」


花言葉、蒼大も同じこと言ってた。


「人『美月』」


歩乃華が何か言いかけた時、お兄ちゃんに声をかけられた。


「ん?」

「今日楽しかった…?」


「もちろん!お兄ちゃんも楽しかった?」


「うん、楽しかったよ。美月も楽しそうでよかった」


「ありがとう、お兄ちゃん」


家に帰ったら、花言葉を調べてみよう。



蒼大が何を言おうとしたのか。


蒼大の気持ちを、もっとちゃんと知りたいと思ったから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る