第6話:愛情弁当といちごオレ

「美月、一緒にご飯食べない?」

「もちろんいいけど…蒼大は私と食べて大丈夫なの?」


「何で?」


「その…」

後ろにすごい女子の列が…


「蒼大くん!私達と食べない?」


「ごめんね。嬉しいけど、今日は美月ちゃん達と食べるよ。また誘ってね」


「えぇ、分かった。次は絶対だからね!」

「もちろん」


女子の扱い方をよく分かってらっしゃる…


「じゃあ、歩乃華も行こっか」

「え、私も言っていいの?二人きりで食べる流れなんじゃ…」


「何言ってるの。いつも二人で…じゃなくて三人で食べてるでしょ」

「いや、それはそうだけどさぁ」


「歩乃華ちゃん。俺も一緒に食べていいかな、」


「そんなの…いいに決まってるだろ!何だこの爽やかイケメンは。もはや絶滅危惧種に認定されるべきでは?」


「ふふ、歩乃華ちゃんって面白いね」

「私に笑いかけてる…?バ〇ス…」


また言ってるよ。


「ちょっとちょっと、世界滅ぼそうとするのやめてくれる?」


もう。イケメン見ると直ぐに世界滅ぼそうとするんだから。


「目が、目がぁぁあ」


あぁ。これは、適応するのに1ヶ月はかかるな。


「美月ー!」


「お兄ちゃん、」


呼んでもないのに、毎日屋上にいる。

言っても聞かないから、もう諦めてるけど。


クラスの友達と食べればいいのに。


「あれ、今日は蒼大君も一緒なんだね」

「はい。お邪魔してもいいですか?」


「大丈夫。お兄ちゃんに許可取らなくていいよ。そもそもお兄ちゃんは呼んでないからね」


「そんな冷たいとこも好きだぞ!」

「はぁ」


どれだけ冷たくあしらわれても、心が折れないところだけは尊敬する。



「美月、俺の作った愛情弁当のお味はどう?」

「はいはい。今日もちゃんと美味しいですよ」


お弁当を作ってくれるのは有難いけど、毎日聞いてくるから鬱陶しい。


「お兄さん、料理もできるんですね」

「まぁね、美月のためならなんだってできるよ」


いちいち大袈裟なんだから


「蒼大はお母さんが?」

「そうだよ」


「あ、ピーマン入れないでって言ったじゃんかぁ」

「駄目。野菜食べないとお肌綺麗にならないよ?」


お肌の為なら…

いや、ダメだ


「俺のハンバーグあげるから、ピーマン頑張って食べて?」


「いや、悪いよ」

「いいんだよ。いつも仲良くしてくれるお礼」


ハンバーグはメインのおかずなのに、、

それなら、


「じゃあ、私はミートボールあげる」

「ありがとう」


「ん!美味しい!」


お兄ちゃんのよ…なんて言ったら拗ねちゃうか。


「本当?良かった。このミートボールも美味しい。これもお兄さんが?」


「そうだよ。気に入ってもらえたならよかったよ。ねぇ、美月」


「な、何?」

「俺のハンバーグとどっちが美味しかった?」


う、うーん。

とりあえずスルーして置くか。


「もう、また訳の分からないことを…」


「美月って、よくいちごオレ飲んでるよね。好きなの?」

「うん!大好き!」


いちごオレは世界を救うと言っても過言ではない。


って前に歩乃華に言ったら、過言だねって言われたけど。


「飲んだことないんだよね」


いちごオレを飲んだことがない…?

人生損してる…


「そうなの?私ので良ければ飲んでみる?」


これを機に、いちごオレの信者を増やすか…


「いいの?」

「もちろん」




「じゃあ遠慮なく…」

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