第7話:歩乃華の計画

「私、今ここにいてもいいのか?なんだかおじゃま虫の気分なんですけど…」


多分…いや、確実に蒼大くんは美月のことが好き。そして、美月はまだその事に気づいてない。


美月は…まだ、ただの友達だと思っているみたい。


「あ、待って。美月にあげようと思って買ってきたんだけど、いらないみたいだから蒼大くんにあげるよ」


そう言っていちごオレを蒼大くんに渡した。


あぁ、もう少しで関節キスするところだったのに、、


故意なのかそうじゃないのかは分からないけど、私が思うに前者だろう。


「いいんですか?ありがとうございます」

「どういたしまして」


「やっぱり颯人先輩はさすがです」

「えー?何それー。褒めてる?」


「もちろんです。もう、存在感が凄いというか。なんというか、はい。凄いです」


私は、蒼大くんを応援しているという訳ではない。ただ、美月には幸せになって欲しいから。


「あ、そうだ。美月に話があって」

「ん?何?」


「俺とフラワーパークに行かない?」

「フラワーパーク?」


美月の好みをよく分かっていらっしゃる


「色んな花があってすごく綺麗なんだって」

「行きたい!」


こんなにアプローチしているのに、何も気づかない美月はおバカでかわいい。


「うん。じゃあ今週の土曜日は?」

「大丈夫!」


「じゃあ俺『楓人先輩』ん?」


また二人の仲を邪魔しようとしてる。


正直、美月に近づいて来る男は全員気に入らなかった。美月が変な男を好きになったこともあった。


その度に先輩は、いや、相手が誰であろうが問答無用で邪魔をしていた。


美月にはもっと素敵な人がいると思って、先輩がしていることに口出しはしなかった。


けど、今回はそうはいかない。


蒼大くんは今までの奴とは違う気がするから。


「ここは、さすがに二人で行かせてあげてください、」


今はまだ友達だと思っていても好きになるもしれない。好きになれる機会を奪いたくはない。


「えぇ、俺も行きたいのにぃ。美月俺も一緒に行ってもいいでしょ」


好きだから誰にも取られたくない先輩の気持ちも分からなくはないけど、好きだからこそ相手の幸せを願うべきだ。と私は思う。


結局、私と先輩は美月のことを好きという気持ちは同じで、やり方が少し違うだけ。


「いいけど…歩乃華も行く?」

「え、私…?」


美月のこういうところが好き


「花好きじゃなかったっけ」

「綺麗とは思うけど、」


花自体そんなに好きではない。

好きなのはイケメンと美月


「楽しいと思うよ」

「でも…」


やっぱり二人で行くべきだと思う。


「あ、もしかして土曜日何かあった…?」


いや、今回はむしろ私も行った方がいいんだ


「…行く!」


二人きりで行かせてあげられないなら…


先輩の邪魔を阻止して、美月と蒼大くんが二人きりの時間を取れるようにすればいいんだ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る