第4話:早朝の花壇

私はみんなが学校に来るよりも、30分早く学校に来ている。


それはもちろん。花を愛でる時間が必要だからだ。


「あ、蒼大おはよう!」

「おはよう。…お兄さんも一緒に来られたんですね」


お兄ちゃん…?


振り向くと、そこにはお兄ちゃんが…


「お兄ちゃん!?なんで!」


普段この時間に学校に来ないはずなのに


「生徒会の集まりがあって早く来たんだけど、」


あぁ、なんだ。


また、どこからか聞きつけて余計なことをするつもりなのかと、


「そうなんだ。じゃあ『でも明日だったよ』」

「いやぁ、うっかりしてた」


なんて言って舌を出すけど、それは本当にうっかりなんだろうか。


やってる。絶対にやっている。


「へーそうなんだ。じゃあ教室に行って勉強でもしてきたら?」


来年受験生なんだから今から準備をする必要があると思う。


「いやだなぁ。テスト期間でもないのに勉強なんかしないよ」


普段から勉強してないくせに、何故かいい点数を取る。気に入らない。


「それでも、暑いから早く教室に『たまには、俺も花を愛でようかな』ん?」


だから、つまり…


「水やり手伝うよ」


やっぱり。初めから目的はこれだったか。


「え、いや、いいよ。いつも私一人でしてるけど、そんなに大変じゃないし、」


いつもなら手伝うなんて言ってこないのに。

なんなら学校にすらいないのに。


「じゃあ彼は?」


そう言って蒼大のことを指さした。


「蒼大はほんとに花が好きだから、手伝うじゃなくてやりたいって志願してくれたの。偶にしたいぐらいの気持ちなら結構です!」


こういうのは気持ちが大事なんだから。

毎日することに意味があるの。


「そっか、そうだよね」


よし、お兄ちゃんを説得できた。

今回は私の勝ち…


「じゃあ今日から毎日水やりするよ」


は…?

そう意味で言ったんじゃないのに


「いや、そういう話じゃなくて、」

揚げ足を取られてしまった。


「毎日来るならいいんだよね」

お兄ちゃんなら本気で毎日来るだろうな。


「そもそもお兄ちゃんお花好きじゃないでしょ」


そうだよ。自分のことを好きでもない相手に水をまかれる花の気持ちにもなってあげてよ


「好きだよ?嫌いって言ったことある?」

「ないけど…」


確かに。好きと言ていなかったけど、嫌いとも言っていなかった。


もうぐうの音も出ない。


「という事で、俺も水やり参加していいかな?」

「もちろんです。人が多い方が早く終わるので」


本心だろうか。それとも、


「蒼大がそう言うなら…」


気を使って言ってないならいいけど、


「蒼大…?いつの間に仲良くなったの?あぁ、昨日の学校案内でか。そっかそっか、」


そう言って静かに頷いた。



ま、まさか、、嫌がらせをするための計画を練っているわけじゃ…ないよね

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