第3話:花と新しい友達

私と話したい事って一体なんだろう…

学校のことならお兄ちゃんの方が詳しいし…


クラスのことかな。人気者だから心配することなんてないと思うけど、


というか。また、お兄ちゃんと三人で学校を回る流れになるかと思ったけど、お兄ちゃんに対してあんなにハッキリとものを言った人は初めてだ。


そして、お兄ちゃんが諦めるところも初めて見た。



「美月さんって園芸部に入ってるの?」


「園芸部…?」


私、帰宅部なんですけど…何と勘違いしてるんだろう。


「あれ、違った?今日の朝、美月さんが正門の花に水をやっているのを見たんだ。だからてっきり園芸部だと思ったんだけど…」


「あぁ、それは…ただお花が好きで、毎朝お花に水やりをしてるんだよね。お花を見ると元気になるでしょ?それに、ここの学校園芸部ないからさ、誰かが面倒見ないと枯れちゃうから」


「そっか、そうなんだ」


中川君も花好きなのかな


「中川君も」

「蒼大でいいよ」


「じゃあ蒼大も美月でいいよ」

「分かった」


「蒼大もお花好きなの?」


お花好きな子、周りにはいないから好きなら嬉しい


「神奈川にいた時、お母さんが花屋をしていて、それで自然に好きになったんだ」


それなら、お花について詳しいのかな。何かあった時相談できるかも。


「へーそうなんだ!園芸部がなくて残念だったね」


「そうだね」


あ、そういえば、


「私と話したいことってお花の事だった?」


「え?」


「ほら、さっき私と話がしたいって言ってたから。園芸部の事聞きたかったのかなって、」


「あぁ、違うよ。ただ単純に美月と話してみたかっただけだよ」


私と…?


「何で?」


「他の人とは違うから」

「他の人?」


「みんなの目と美月の目は違った」


私の目が他の人とは違う…


そんなこと生まれて初めて言われた。


「それはどういう…」


「嬉しかったんだ」


蒼大の真っ直ぐな瞳に見つめられて、思わず心臓が高鳴った。


「そ、うなんだ。…えっと、部活何か入るの?」


どういうことかよく分からなかったけど、深く聞くのはやめた。


「うーん。まだ決めてないけど…明日、サッカー部の見学に行くんだ」


サッカー部か。うん。なんか、想像出来る


「前の学校でもサッカーしてたの?」


「前の学校では陸上部だったんだ」


スポーツできるなんて羨ましい。


「へぇ、運動神経いいんだね」


「そんなことないよ。…あのさ、」


「ん?」


「明日から、俺も花に水やりしてもいい?」


「もちろん!」


いつも一人で水やりしてたから、まさか水やり友達が出来て嬉しい。


明日から楽しくなりそうだな。




そう思っていたのに、またお兄ちゃんが…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る