第2話:出会い

「今日は転校生を紹介する」


転校生…だから、机がひとつ増えてるのか。


「イケメンなのかな〜!」

「いやいや、女子だろ。なんかすでにいい香りするんですけど!?」


なんて、推測して盛り上がってる。


「美月はどっちだと思う?」


「うーん。どっちでもいいかな」

「何それ〜」


どっちでも仲良くなれたらいいな。


「静かに!それじゃあ早速入ってもらおう」


教室のドアが開くと、そこに立っていたのは…



「男かよ〜!」


「キャー!かっこいい!」


彼が一歩教室に入ると、女子たちの視線が一斉に彼に向けられた。


「やばい!ちょーかっこよくない!?」

「そうだね、」


お兄ちゃんを毎日見ているからか、イケメンには免疫がある。


「大きな瞳と高い鼻筋、形の良い唇にしっかりとした顎のライン、清潔感のある髪型…爽やかイケメンってとこか」


歩乃華はイケメンを見ると、口数が多くなる。


「歩乃華、静かに」


「ごめんごめん。イケメンセンサーが反応した」


歩乃華がお兄ちゃんを初めて見た時は、それはそれは凄かったな。


「こんにちは。神奈川県から来ました。中川蒼大です。よろしくお願いします」


でも、確かに歩乃華が多弁になる理由も分かる。


私が今まで出会った人の中で一番かっこいい。


短めの黒髪は風になびき、爽やかな笑顔が教室全体を明るくした。


「あれは、人気出るだろうねぇ」

「だといいね」


人気があるに越したことはない


___



「美月ー!」


「お兄ちゃん、」


休み時間の度に私に会いに来るけど、この人は友達がいないんだろうか。


「颯人先輩こんにちは!」


「歩乃華ちゃん、こんにちは」


今でこそ歩乃華は、お兄ちゃんと普通に会話しているけど、初めてあった時なんて腰を抜かしていた。


まともに話せるようになったのもここ最近だ。


「転校生が来たんだって?」

「あぁ、そうそう」


かっこいいから情報が早く回ったのか、それとも、お兄ちゃんの情報収集能力が高いのか。


「クラスの女子がイケメンだ、イケメンだ。って騒いでますよ」


「へー、イケメンなんだ。その子と話してみた?」


話そうとしたんだけど、無理だった。


「いや、それが話せてないんだよね。話そうとしたけど、周りに女子が沢山いたから諦めた」


「初日から質問攻めされてて可哀想だよね」


「転校生はそういうものなんじゃないかな。最初は興味を持って話しかけるけど、時間が過ぎれば関心も薄れていくよ」


普通ならそうなんだろうけど。

ただ、彼の場合は…


「いや、転校生っていうより、イケメンだからですよ!颯人さんも一度見に行ってみてください!すっごくかっこいいので!」


「へぇ、そんなにかっこいいんだ」


「はい!あ、でも颯人さんほどではないですけどね」


「はは、ありがとう」


お兄ちゃんは…クラスの女子に囲まれたりしないんだろうか。


そういえば、一度もお兄ちゃんの教室に行ったことないや。


「美月さん!」


「中川君?」


噂をすればなんとやら


私なんかに何の用だろう。


「学級委員って美月ちゃんだよね?」

「あ、うん。そうだけど、」


「先生に委員長に学校案内してもらえって言われて」


「そうなんだ。じゃあ行こっか。ごめん歩乃華先に教室戻っててもらえる?」


「分かったー!」


「お兄ちゃんも、もう教室『俺もついて行くよ』」


出た。


「なんでよ。いらないよ」


先輩に付いてこられても気まづいだけでしょ。


「生徒会長だからね。美月よりも学校のことよく分かってるよ」


そう言われれば、そうなんだろうけど


「ありがたいですが、今回は美月さんと回らせていただきます」


「えーなんで?」





「美月さんと二人きりで話がしたいので」





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