第6話「事件」

「すみません。ありがとうございます。あの…お名前は…」

「俺は緑青 廉。よろしくな!」

そう言いながら親指を上に立ててニコッと笑った。

「でもなんで?今授業中じゃ…」

僕がそう聞くと廉は不思議そうに言った。

「ん?もう夕方だぞ?」

…あれ。そんなに寝ていたのか??

僕もまた不思議に思いながらもう一度頭を下げてその場所を出て行った。


午後11時半

あの廉って人。優しかったな。

そう思いながらベッドに横になるとLINEの通知が不意に僕の耳に届いた。

【光!結月はどこにいるか分かるか!?】

翔琉からのLINEだった。

【分からないです。】

と送信しようとするともう三通LINEがくる。

【5時に出かけてそれから帰って来ないらしいんだ】

【連絡も取れない】

ダッ

僕は何も考えずに外に出た。

何か大変な事が起きている気がした。

プルルル プルルル

渉からの電話に躊躇いもなく出る。

「大変な事になった。今すぐ学校の正門に来てくれ。」

それを聞き、学校へと足を進めた。

学校に着くとそこには翔琉と渉ともう1人、見たことのある人がいた。

「久しぶり!!光!」

どうやら向こうも僕のことを知っているようだった。

「誰だ。確か…」

と悩んでいる僕を見てその人は僕の背中を思い切り叩く。

「忘れたの?はぁー。」

深いため息をついてその人は口を開く。

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