第5話 異世界転生したら父親に人間味がないぐらいの欠陥野郎だったんだが。キャンセルききますかね。


  気づくと、俺は赤ちゃんだった。


 どうも。異世界転生してきました。


 なんだか、凄く騒がしい。


 「っしゃああああああ!」

 

 「男の子だ!」


 「俺の息子だ!」


 だそうだ。

 状況からして、この男性が俺のこの異世界での父親なんだろう。

 そうでなければおかしい。


 「女の子だったら絞め殺してたかもしれない」

 「やっぱり英雄ってのは男の子じゃなきゃな」

 「よかったよ」


 最低だわこいつ。

 でも、なんだか。

 自分の前世はどうしようもないクズだった気がするから。

 こんな最低な野郎がこの世界の父親かと思うと。

 嬉しくなってくる。

 俺は自然と笑顔になっていた。


 「お、笑ったな」

 

 ああ、これからよろしく。 


 「俺の事笑ってんのかてめぇ!」


 え、ええ。

 この異世界での俺の父親。

 頭おかしい?

 いや、おかしい。 

 めっちゃきれてる。

 まじぎれ。

 

 「ぶっ殺すぞてめぇ!」

 「赤子だからって容赦しねぇぞコラ!」


 だめだ、こいつ。

 まじだ。


 ちょっとぐらい、欠点がある方が人間味があるっていうじゃない。

 こいつの場合、人間味がないぐらいに欠点がある。

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