第4話 ごめんなさい前世


  扉への押し出しを決められてしまう。

 否応なしに、扉を体がくぐる。

 

 体が、前方に流されていく。

 一旦忘れていた、生きていた頃の記憶が蘇ってくる。

 嫌な記憶ばかりが、蘇ってくる。

 

 1番嫌な記憶はいうまでもない。

 牧師阪部元久を殺した事。


 何もかも、思い出したい事なんて1つもない。

 もうさっさと、異世界転生してくれ。


 元久の事も綾乃の事も、家族の事仲間の事も。

 何も思い出したい事なんてない。


 全部俺が悪かった。


 僕は、全て傷つけてきました。

 

 ごめんなさい前世。


 異世界転生しても、僕はきっと変わりません。


 同じように、人を傷つけるだけです。


 それなのに、俺が異世界転生する意味はあるんでしょうか。


 オロチの因果で、異世界転生するだけなんだろうか。


 オロチを殺すまで、延々と、この異世界転生は続くのでしょう。

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