第3話 貴方には稲葉克五郎として異世界転生してもらうわ
「あのね稲葉克五郎」
「私は貴方の信仰してる神とかじゃないから」
「天使か何かだと思ってさ」
始めから、パパママだとは思っていなかったが。
「貴方の生前の善悪がどうとか私にはあまり関係なくて」
「貴方は異世界転生が決まったから」
「私の所に来たの」
「私の権限で地獄行きにするとかできないのよ」
「さいで」
「とにかく」
「俺は宮本清二だ」
「はぁぁ」
「貴方馬鹿なのかしらぁ」
「事務手続きが間違ってたとしても」
「私の責任じゃないし」
「良いから行きなさい」
「そこの扉早く入ってね」
こいつ、めっちゃぐいぐい押してくる。
「個人情報保護だかプライバシーだか守秘義務とかってのもうるさくてさ」
「誰が異世界転生したかどうかとかも」
「教えてあげられないの」
あぁ、こいつ力強いわ。
精霊か異教の天使なら、人間より強い力があっても当然だ。
このまま、押し出されてしまう。
チートスキルの有無とかそんな事は、どうでもよかった。
「俺は、宮本清二として異世界転生できるのか」
もしかしたら、このまま異世界転生したら、稲葉克五郎という凄い英雄として
異世界転生してしまうのかもしれない。
そんな事、俺は望んでいない。
稲葉克五郎。
聞き覚えのある名前だ。
「できるわけないじゃない」
「貴方がどこの誰であったとしても」
「事務手続きの間違いだったとしても」
「貴方には稲葉克五郎として異世界転生してもらうわ」
「異世界転生する人間に口なし」
こいつ、面倒だからこのまま押し出し押し通す気だ。
異教の天使だ妖精なんてのは、やはり糞だ。
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