第2章
初めての高校生活
「ふふん!」
腰に手を当てて、校門の前に立った私。
天気は晴天で、光り輝く太陽が私にスポットライトを当てる。
「起眞市立高等学校!!」
私は校門に掲げられている看板の文字を読む。
偏差値71の超超超名門学校!!!
ここで私のアオハルライフが!!!
遂に始まるんだ!!!
私は、その嬉しさで顔のニヤけを止めないまま、校舎の中へ踏み込んだ。
それにしても、ほんとに私は運がいいなぁ!
お姉ちゃんの制服がこの学校の制服とほぼおんなじで、お姉ちゃんの着てた制服を着れるんだから!
えっと…私のクラスは…あった!
1-A組!
どうやら1階にあるみたいだ。
私は靴を履き替え、1階にある1つ目の部屋の扉を開ける。
扉にある取っ手に手を添えると、私は上がっていた口角を無理矢理下げる。
落ち着いて〜落ち着いて〜
目をカッと開き、私は勢いよく扉を開けると、バァンと音が教室に響き渡る。
「おっはよ~!!!!」
と、私が見知らぬ人が沢山いるであろう教室に大きな声で、挨拶をカマすと空の教室に私だけの声が響いた。
電気もついていない教室は閑散としていて、黒板に座席表が貼ってあっただけだった。
どうやら張り切って来たせいで、私一人だけが早く来てしまったようだ。
「だ、誰も居ないのか〜」
「いるけど?」
私が声を漏らすとすぐ横から少し低い男の子の声がした。
「え!?」
私は驚きを隠せないまま、横を振り向くと、そこには髪のボサボサした白い目の少年がいた。
いや、少年って言っても、起眞高の学生服を着ているから、うちの生徒…というか、同じクラスの人だと思うんだけど…
「まさか…僕の存在に気付かないだなんて…心外…」
気を悪くしたのか、悪い目つきの中に悲しみの色が見えた。
「あ!えっとごめんね!その、扉から出てきて視野の外に居たもんだから気づかなかったよ!!」
私はすかさずあなたの存在が薄いわけではないと、当回しに伝える。
「でも、僕、君がおはようって言ったから、すぐに返したけど?」
………逃げ場を失ってしまった。
「え?いや、その…さ、最近、私耳が悪いもんだからさ!!実は、そのせいで聞こえなかったんだよね!!!」
すると少年は、小さな声で、「嘘のくせに…」と呟いた。
「う、嘘じゃないよ!!再勤耳が…」
「僕さっきのセリフ、挨拶を返したときと同じくらいのボリュームで言ったけど?なんで耳が悪いのに聞こえるの?」
あ…
「ねぇ…なんでよ!!!」
「あ、え、えぇっと…」
私はナイフのように鋭い眼光でこちらをジロリと覗く少年の目からそむいて、後ろを見た。
「あ!そうだ!!そういえばさ、自己紹介まだだったよね!!!自己紹介しない!?」
私はなんとなくすぐに思いついた言葉でその場を凌ごうとすると、少年が「僕の話…つまんないんだ…」と、またもや小さな声で呟いた。
「べ、別にそう言うわけじゃないよ!!!ほ、本当だよ!!」
白く染まった、瞳孔の色が薄い目の視線が私の顔をジロジロとなめ回す。
あまりの圧に汗が少しばかり制服に滲む。
「ふーん。まぁ、良いや。」
私はその少年の言葉とともに後ろに去っていくことに胸を撫で下ろした。
「僕の名前は、
「わ、私は
私が全力の笑顔で、よろしくの合図として手を出すと、神崎くんは何か、超常現象をみたような、そんなお度ついた顔で
「と、時巻!?」
と、私の苗字を繰り返した。
「え?どうかしたの?」
たしかに私の苗字は珍しいものだけど、特に何かあるわけでもない気がするけど…
「え?あ、い、いや…なんでもない…」
結局、その日は神崎くんとの間には、自己紹介程度しかの進展がなく、私は休憩の時に新しい友達を作ることしか出来なかった。
「それじゃあまたね!奏音ちゃん!」
私が、1-Cに居る友達に別れを告げると、先に帰った神崎くんを追いかけることにした。
「神崎くん!!」
私が帰宅路に付いている神崎くんの名前を呼ぶと、神崎くんは振り返ることなく、無視をする。
私はもう一度、「神崎くん!!!」と声を上げてみたが、反応しない。
「もう!!!神崎くん!!!!!!」
私が、近所迷惑になりそうな程までに大きな声を出すと、流石にこれは懲りたらしく、「んだよ!うるさいなぁ!!!」と、顔を真赤にして振り返った。
「あ、ようやく振り向いたね!!」
と、私はその一瞬の隙を見逃さずに、こちらへと振り向いた顔の頬を両手で掴み取る。
「ぐえ!」
「離さないからね!!!」
「まっへ!!!いひゃいひゃい!!!」
「もう!昼は何か言いかけた様子だけど!!!結局何を言いたかったの!?」
と、私は半ギレ状態で攻め寄る。
「え、えっと…」
私も流石に秘密をされては困る。
こうなったら、強硬手段に出るしかないのだ!!
「そ、その…時巻って名字がとても…珍しいなって思って…」
「そんなことを考えてるわけじゃないでしょ!ちゃんと教えてよ!!」
私はむぅ!と声を漏らすと、神崎くんは、これに凝りたのか、「わ、わかったよ…ちゃんと話すよ…」と、言葉を吐いた。
やった!これで聞き出せる!
「そ、それじゃあちょっと場所変えないか?ここでは話せない…」
私はあたりを見渡すと、少しだけではあるが細い車1台は通れそうな通路に、少しだけ人が通っていた。
「わかった。でも逃げないでね!!」
そして私たちは別の場所。近くの人気の少ない公園に入ると、神崎くんは口を開いた。
「あのさ、確認なんだけど君の名字、時巻って名前だよね?」
真剣な顔で神崎くんが聞くと、私は不審に思いながらも、
「え?うん。そうだけど…」と答える。
「そうか…時巻。この名字って、実は日本に1件しかないんだよ。」
「え!?そうなの!?」
「うん。なんでだと思う?」
なんで?考えられるのは、昔、私たちの家計は重要な役職だったからとか?
「仕事とかかな?」
「…うん。正解。」
「え!?当たった!?やったー!」
と、私が喜んでいると、神崎くんはジトッとした目で見ていた。
「えっと、だな、時巻家ってのは重要な役職を与えられたんだ。そのため、一件しか苗字がない。そういう事だ。」
「じゃあ重要な役職ってのは何なの?」
私がその事を聞くと、神崎くんは間を少し空けて、答える。
「封印」
「え、ふうにん?なにそれ?」
「封印だ!!!なんでふうにんになるんだよ!!」
「封印って言っても、何を封印するの?」
「神。」
単語だけを言う神崎くんは答えたくないという風にした。
「か、神!?ど、ど、どういうこと!?」
「時巻家ってのは、時の魔王っていう神を封印するための一族なんだ。」
「と、時の魔王!?な、なにそれ…」
「あー…平たく言って世界を破壊する神のことを言うと…」
「世界を破壊する神様!?な、なんで神様がそんなことを!?」
「たしかに僕は神と言ったけど、まぁ、魔物に等しいけどね。」
「ま、魔物!?それもこの世界に!?」
「うん。とりあえず、時巻家は時の魔王を封印するためだけの一族で、君はその末裔…」
「え、えっと…封印??魔物??如何いうこと???全くわかんないんだけど…」
神崎くんは、少し、私のほうのうけた顔を見ると、「はぁ」とため息をついた。
「君は、家族から何も知らされてないの?」
「え?うん。私家族居ないから…」
「え?」
「家に帰っても一人だから…小さい頃に何故か誰も居なくなったんだよね。咳をしても一人状態。」
私の話を聞いた神崎くんは申し訳なさそうに、「ご、ごめん…」と一言呟いた。
「大丈夫だよ!!慣れてるからさ!」
「そ、そうか…親族は居ないのか?」
「多分、みんな死んじゃってるんだと思う。居たとしても、私はあったことないからわからないなぁ」
「そ、そうなんだ…」
「でも、その話、私が信じ切ったわけじゃないからね?まだ魔王っていう言葉の実感が湧かないし…てか、その情報はどこから聞いたの?」
「え、えっと…そこは秘密!!」
「ふーん…」
私は、先ほどの怒っていたような顔を浮かべて、神崎くんの顔をジロジロと覗くが、神崎くんは少しだけ、怯えたようだったが、決意の色も瞳の中にあった。
「じゃあ、まあいいや!バイバーイ」
私は神崎くんにそう言葉を告げると、その公園を後にする。
「え!?あ、じゃあね〜」
後ろから聞こえてくる神崎くんの声に手を振って帰った帰宅路は、夕焼けによって、赤色に照らされていた。
こうして物語はまた始まった。 最悪な贈り物 @Worstgift37564
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