第2話

「それじゃあ、困ったらなんか電話してくださいね。すぐに駆けつけますんで」

「行ってらっしゃーい!」

威勢の良い声が響く。

朝の8時00分、リョウさんは家の扉から外に向かって部屋を出て行った。

「さてと!シズちゃん!今日は何する?」

私は畳の上に座るシズちゃんに向かって問いかける。

「うーん…かくれんぼしよ!!!」

「おお!いいなそれ!!」

私とミナは今日、シズちゃんの家で留守番をすることとなった。

何故こうなったのか。それは今日の朝の出来事である…

「ふはぁ」と私はあくびをしながら手を伸ばして朝に起きる。

なんでだろうか。今日は何か良い日になる気がする!

とここで周りを見回すと、何故か見知らぬ和室の部屋にいた。

「ふえ!ここってどこ!?」

と私はあたりを見ると、大きな畳の敷かれた、今のようなもの。壁には凹みがあり、何かの壺と掛け軸がしかれてあった。隣には大きな大人用の布団が一枚。

そして、目の前には引き戸があった。

えーっと…昨日何があったんだっけ…

ミナが朝に起きて…病院行った後に出会ったリョウさんとキリヤくんとシズちゃんと一緒に焼肉行った後…あれ?何してたんだっけ…自分の家に帰った覚えもないってことは、今いるこの部屋は他人の家にいるわけだけど…誰の家だろう…

とりあえず、私は掛かっている掛け布団をどかし、綺麗に畳んでから、目の前の引き戸を開いた。

引き戸を開くと、どうやら廊下のようなところへと出た。

「どこからか…声が聞こえるような…」

私は声が聞こえる方に向かって廊下を歩く。

廊下を歩いていると何部屋か、和室を通り過ぎる。その様子から、ここがとても大きい豪邸であることは確かだった。

「で、でかいなあ…このお家」

しばらくすると、階段が現れた。声はこの階段の下から聞こえる気がしたので、私は階段を降った。

「こっちの方かな?」

多分一階にたどり着いた時に、目の前には玄関があった。引き戸の構造をしていて、靴箱の上には花瓶が置いてあった。

そして私はその玄関をサラッと確認した後、Uターンをして声の聞こえる方へと向かった。

そして私は音の出どころだと思われる、障子を左右に退ける。

すると、障子を開けたその先にはリョウさん、キリヤさん、シズちゃん、マナの4人が座布団の上に座っていた。

「お!マナ!おはよう!」

「マナさんおはようございます」

「おはよー!お姉ちゃん!!」

「お、おはよう…え?なんでみんなここに?」

私は少し、わかってきたが、多分ここはリョウさんやキリヤくん。シズちゃんの家だろう。

そういえば、昨日、ミナから両親は死んだって聞いた気がする。

「そう言えば寝てたからな。覚えてないのも無理はないか。」

「あれ?私昨日寝てた?」

「まあ、一から全部説明してやるわ」

_______________________________________________

「えーと、要するに…私がビールで酔って寝ている間にミナは、魔物という名のホタルイカに襲われて、時の魔王の存在について知って、これも恩の内ってことで一晩泊まったわけね?」

「ああ。そういうことだ」

その時、奥の方で何か料理していたキリヤくんが朝ご飯を持ってきた。

「あ、マナさん。おはようございます」

「おはよ!これ朝ごはん?」

私はキリヤくんの持っていたおかずらしき、野菜類を指差しながら言う。

「はい。朝ごはんできたんで食べます?今日は日曜だし、ゆっくりしても大丈夫ですよ?」

その言葉に私はどうしようか迷っていると、欲望に忠実なミナが

「まあ、甘えるのもたまに良いんじゃないか?」

と言ってくる。

「それ、自分が居たいだけでしょ?」

私はそう言って少し微笑むと、目の前に用意された箸と茶碗を手に取った。

「そういえば、今日、キリヤってなんか予定ある?」

朝ごはんの途中、キリヤくんとリョウさんが何かを話し始める。

「あ、今日は部活があるな。午前はいないけど、どうかしたのか?」

リョウさんは困った顔をする。

「実はさ、今日メイドさんたちが来れないみたいでさあ…留守番役がいないんだよ…」

私は「メイド」と言う不慣れな言葉に、飲んでいた味噌汁を吹きだしそうになる。

「留守番役かあ…」

ここで、ミナが動く

「それなら、わたし達が受けようか?」

またもや飲んでいた味噌汁を吹き出しそうになる。

「ゴホッ!ゴホッ!え?本当にやるの?」

「え?やるに決まってるだろ!てか、やりたかっただろ?シズちゃんと一緒に入れる時間が増えるわけだし。」

私は手を顎に当てる。

「うーん…まあ、昨日のお返しに…」

「い、良いんすか!?」

とここでキリヤくんが身を乗り出して再び聞いてくる。

私は少し引き気味になりながらも、

「え、う、うん…良いけど…」

「あ、ありがとうございます!!そ、それじゃあ、よろしく頼みます!!」

とキリヤくんは私の手を握って言った。

「すまないなあ、キリヤはシスコンなんだ。」

とここまで言うと「おい」と呟やかれ、目線によって黙らさせられる。

「ははは…」と私とミナは苦笑いをしてしまう。

横では黙々とシズちゃんがご飯を口の中に掻き込んでいた。

顔にご飯粒を数粒つけて。


と、まあ。こんな感じのことがあって、今私は留守番をしている。

「9〜!10〜!もお〜良い〜か〜い!!」

遠くの方で、数え終わった声がしたので私はそれに答える。

「もおーいいよー!」

まあ、私はとりあえず、2階の押し入れに隠れたわけだけど…

「ま、見つかるわけないよね…」

ここはこんな風にね!


*ここからは想像です*

「わーお姉ちゃんすごーい!!」

てな感じでシズちゃんにナデナデされたりして…

グヘヘ…!


とまあ、こんな想像をしていると、遠くの方で階段を降りる音がした。

「お姉ちゃーん?どこぉ?ここら辺にいるんだよねー?」

と小さくて実にかわゆい声が聞こえる。

まずい!!来た!!

と、私はこの時、見つかって欲しいとも思ったが、でもここはお姉ちゃんすごい!ナデナデエンドで終わりたかったので、息を殺すことにした。

「お姉ちゃーん?ここら辺にいるんだよね?」

でも、何故か不思議だ。なぜシズちゃんはここにいることを前提としたように独り言を呟いているんだろうか。

謎ではあるけど、まあ、見つけられないでしょう。

「絶対ここになんていないよお!」

とここで、シズちゃんの声がどんどんと遠のいてくる感じがした。

「ふうー。やり過ごしたー」と一息ついた時だった。

バタン!と音がして、暗闇だった押し入れの中に突如として光が差し込んでくる。

「へ?」

「お姉ちゃん!みーつけた!!」

光の差し込む方向からは、何故か私を見つめて指差しているシズちゃんの姿があった。

「ま、まじかぁ〜」と呟きながら私は、シズちゃんの曇りのない笑顔を眺めていた。


「ミナちゃんどこぉ〜」

「ミナはどこだろうねー」

押し入れから出て、私もとりあえず、鬼側に参戦することにした私は、シズちゃんと一緒にミナを探していた。

「全然いないね」

「ねー」

とりあえず私は次にどこを探すか中腰になって、シズちゃんの目線に合わせて聞いてみる。

「ねえ、次はどこ探す?」

「うーん…あ!地下室!地下室行こうよ!」

地下室!この家には地下室があったのか…


そして、私はシズちゃんに案内され、地下へと繋がっていそうな階段を下る。

地下室は木の板が壁中に敷き詰まっており、天井には灯りとなる電球などの存在もなく、暗い雰囲気が漂っていた。

埃は天井に溜まっており、周りを見渡すと箱のような物や、本棚などが辺りに散乱していた。

「いっぱい物があるね」

「お兄ちゃん達が言うにはこれって大切な物なんだって。お人形さんでもあるのかなぁ…」

「さあ、どうだろうね…」

とりあえず、周りを見ても、物が散乱し暗いせいもあって、よくは見えなかったが、それらしい陰はどこにもなかった。

「ここではないんじゃない?」

と私が言うと

「まあ、そうかも…じゃ、じゃあ、どこにいるのかなぁ?」

「さあ…私にもさっぱりわからないなー」

シズちゃんは私の目をじっと薄目で見つめる。

「じー…」

「い、いやホントに!!シズちゃんの可愛さに誓って!!本当のことを言ってます!!」

「ふーん…それじゃあ、次は1階をもう一度探してみよ!!」

とそういうとシズちゃんは1階へつながる階段を駆け上がっていった。

「ふふ…可愛い…!」

そう言って私がその場を立ち去ろうとした時、ガコンと何かが落ちた音が足元でした。

多分だが、棚やどこからか溢れたものなんだろう。足元には綺麗に透き通る水晶の玉のような物が転がっていた。

「なにこれ?」と言いながら私はその水晶に手を伸ばす。

すると、ごく一瞬ではあるが、水晶が光る。それと同時に私の手には静電気が流れたような感覚に一瞬だけ襲われる。

「痛っ……!!!」

私は手を少し後退させると、再び、水晶に手を伸ばし片手で掴み取る。

今度は静電気のようなものは流れなかった。

「なんだろこれ」

私はその水晶をしばらくじっと見つめていると、暗闇で少し見えなかったが、何か黄色いお札のようなものが貼られていることに気がついた。

「なんか書いてあるなぁ…」

私は少し目を凝らすと、何かの文字がお札に書かれていることに気づいた。

私はその文字を読もうと、さらに目を凝らし、うっすらと見えた黒い線を少しずつ読んでいく。

「えっと…時…得…法…水晶…?なんだろう、これ」

私はもう一度、全体を見る。

丸く、人工的に作られたような綺麗な水晶。

お札からは何故かだいぶ前…それも、100年前からあるような年紀の入った紙。

それも、ここの地下室にあるものはよく見てみると、そんな昔に使われていたような…そんな物ばかりだ。

試しに一つ、そこら辺にある物を取ろうと、今立っている場所の隣にある本棚から、一冊、本を取り出す。

「これは何の本かな?」

私が取り出した本は何故か糸で紙がまとめられていて、まるで大昔に作られたかのような本だった。

私は裏返して、表紙をみると今度は全く読めない文字が羅列していた。

「こ、これは…なんて書いてあるんだろう…」


とここで、一階から地下室に響くまでの恐怖に包まれたような、そんな甲高い声が聞こえた。

私は持っていた本を慌てて閉じて、地下室と一階の階段を急いで登った。

「シズちゃん!?」

私は目を離していたので、何か悪いことがシズちゃんにあったのかと、急に心の中が不安で募る。

「シズちゃん!?どこ!?」

「お、お姉ちゃん…」

すると、玄関近くの廊下の角で、頭だけを出したシズちゃんがひょっこりと頭を出していた。

しかし、シズちゃんは震えていて、何故か涙を流していた。

「ど、どうしたのシズちゃん!!」

と私が近寄ろうとした時、シズちゃんは角から、体全体を出すと、シズちゃんの背中に黒い何かが押し当てられていた。

私はそれが何かを知るまでに少しの時間が掛かったが、ようやく黒い何かの正体が何なのか、わかった。

私の顔は一気に青ざめる。


「動くな」

シズちゃんの後ろから声がした。

「動いたら時巻志津を撃ち殺す。それと、悲鳴をあげないことも大切だ。」

男は黒く染まったライフルをシズちゃんの背中にめり込ませている。

私は手を震わせながらも、強い口調で

「あなた、どこから入ってきたの!!」

「俺達は窓ガラスをぶち破ってきた。そんじゃ、暴れないように眠っててもらうぜ。やれ」

私はその「やれ」と言う言葉に疑問を感じ、シズちゃんに銃口を向けている男の目線をたどり、後ろを振り向くと茶色の服をきた大男がいた。

「あ、あなただ…」

と言いかけると、頭に強い衝撃を感じ、私はその場に倒れる。目の瞼が降りている途中に見えたのは、シズちゃんの涙を流している様子だった。


「う、うう…」

目を開けると、私は何故か居間に倒れていた。手を広げようとも手は何かによって止められる。

「動くな。目は開けてもいいが、ボスが来るまで待て」

頭に何か冷たい物が押しつけられ、私は頭をあげようとも阻まれてしまう。

目だけで周囲を見回すも、居間の全体は見えないものの、視界の中に入った人だけでも、3人の人が銃を持って畳の上に靴のまま立っていた。

3人は全員が同じ格好をしていて、茶色のパーカーに背中には時計と歯車のマークを背負い、フードを被り、顔がわからないようにしている。

「あ、あなた達は何なんですか、あなた達は誰なんですか。」

私は静かに問いかける。

すると、一息置いてから、男はその問いかけに答える。

「お前は、時の魔王は知ってるか?」

時の魔王。それは多分だけど、今朝にミナが教えてくれた、魔物ってやつのことだろうか。

「時の魔王って、冥界にいる時を支配している魔物のことですか?」

大丈夫。落ち着いていられてる。

「そうだ。じゃあ、冥界とはどこにあって、どのように行くのかは?わかるか?」

確かに、私も気になっていたものだ。時の魔王の存在はどこにあって、冥界とはどこなのか、イマイチよく分かってない。

私は「わかりません…」とだけ答えておく。

「時の魔王ってのはな、冥界に住んでいる。冥界はこの世とは別の次元にある。そこに住んでいるんだ。そして、その冥界に行くには、神から人間へと託された、冥界の結晶が必要になるんだ。冥界の結晶はある時期になると、その結晶から別次元へと繋がる穴が出現するんだ。それを次元の裂け目って言ってな。その次元の裂け目を発生させる冥界の結晶がこの家にあるんだろ?俺らはそれを取りに…もとい、奪いにきたんだ。」

「あ、あなた達はそれを手に入れて何をするつもりなんですか!?」

私は少し強めの口調で言う。

「はは。それを聞いてどうする?まあいい。教えてやるよ。俺らはリロック団。時の魔王の力を使って、世界の時を戻し、世界をやり直すんだ。今の世界は戦争やら、紛争やら、戦いの好む馬鹿共が世の中を仕切ってる。そんな奴らに振り回されるのはもう飽きたんだ。だから、世界をやり直す。それだけよ。」

頭に突きつけられていた、銃口の抑える力が弱まる。

「どうだ?お前もリロック団になってみないか?一緒に世界を0に戻そうぜ!」

男は両手を広げて言った。

確かに、戦争を無くすのは良い考えだと思った。実際そうなったらどんなに良いことか。

でも…

「も、もし、人間が…文明がリセットされても、人間に欲望がある限り、絶対に戦争って無くならないんじゃないんですか?人間は欲望に従う生き物です。無感情の人間が量産されない限り、人間は戦いをやめない。リセットしたとして、戦争がなくなることなんて、無いと思います。それに、今を楽しむ人を全員殺してもでも、リセットしなければならないのですか?」

と私は反論した。

「ふーん、言うじゃん。ちょっと頭にきたかも。」

と言って男は勢いよく、銃口を頭にぶつける。

ボコ!と音をたてて頭に衝撃が来る。

「痛った!!!」

私は頭から何か生暖かい物が流れてくるものを感じた。

「現状に満足していられるのは!!!お前が日本人だからだろ!!!世界のことを何にも気にしねぇお前には頭に銃弾一発プレゼントしてやるよ!!!」

私は今になって言い過ぎたことに気づき、どっと一気に何かが体を襲い、動く力を無くした。

「や、やめ!!!」

「待て。」

その声が聞こえると、銃口を押し付けてきた男が銃口に掛かる力を弱める。

「殺すなと言っただろう。頭を傷つけも良いなんてことも言ってない。俺は眠らせておけとだけ言った。殺すことなんて、以ての外だ。」

階段の上る音。どうやらここは2階らしい。

その声がした途端、男は銃口を天井に向ける。

「どうも、リロック団、団長。時見水浪です。好きなものは平和と募金。嫌いなものは戦争と虐め。あ、あと、犬も嫌いだ。慣れようとしてもなかなか慣れず、いつも出会った犬には睨んでしまって、すぐに犬は逃げていく。卑怯者も俺は嫌いだな。」

障子を開いて自己紹介をしたそいつは、何故か只らならぬ雰囲気を漂わせていた。そいつは、金髪と茶髪の入り混じったような髪色をしていて、片目を髪で覆い、もう片目は何故か、ガーゼタイプの眼帯で見えないようになっている。それなのに、視界の完全に塞がれているはずの目は私をじっと見ているように感じさせた。

「こんにちわ。君は、ここの家の住人かい?」

スイロウと呼ばれるこの男の人はしゃがんで私に問いかけてきた。

「え、えーっと私はこの住人ではありませんが…」

私は声だけで、この人がまともな人と判断し、とりあえずは、本当のことを言う。もし、嘘をついて、また銃口を向けられてもたまったもんじゃない。

「嘘をつくな。お前は時巻家の長女だろ?」

何を言っているんだろうか。もしかして、この人はシズちゃんと私を勘違いしているのだろうか。そういえば、シズちゃんの姿が見当たらない。

でも、シズちゃんではなく、私の事を長女と思われていると言うことは、シズちゃんはまだ、見つかっていないと言う事!!

私はそのことに一安心した。

「早く出せよ、冥界の結晶。どこにあるか分かってんだろ?早くしねえと、あのお友達が死ぬことになるぜ。」

あのお友達!?まさか、ミナのことか!?

ミナも捕まってしまったのか!?

「さあ、どうすんだ?お友達を無くすか、冥界の結晶の居場所を吐くか。どっちなんだ?」

スイロウは私の頭を掴み、平和なんて求めてないような目を私に向ける。

「わ、わかりました…場所…言いますから…」

私はとりあえず、ミナを救うために、嘘の証言をした。

「それでいいんだ。」とスイロウは言うと、私の頭を思いっきり畳にぶつける。

「ぐふっ!!」

私は畳の上に血をぶちまけた。

「それじゃあ、案内よろしくぅ!この家、馬鹿でかいからな。さっき見てきたけど、隣に武道場あるし。」

これは初耳だった。まさか、この家がそんなに広いとは思ってもいなかったからだ。

「ほら、立てよ、足には何にも縄は縛ってないだろ?」

私は足に力を入れて、立つ。もしかしたら、地下室に何かあるのかもしれない。私はそう思って、廊下にでた。

多分私が捕まっていたところは今日の朝に私が寝ていたところだろう。

そこで、私はふと、廊下に設置されている窓を見て、外の状況を見る。ここから人の様子はわからないけど、多分警察とかは駆けつけてないようだ。この状況をどうやって、打破しようか。

と、私が考えていると、外の方から鳥のような物が一直線にこちらへ向かってくる。

「な、何あれ…?」と私は廊下の途中で止まる。

「あ?早く歩けよ。」

どんどんと、その鳥のような物はこちらへ飛んでくる。ん?鳥のサイズではないような…

と、私が思って時、急に、その鳥のようなものは速度をあげ、こちらへ突っ込んで来た。

そして、次の瞬間、廊下のガラス窓が、いくつかの破片へと砕け散る。

華麗に散ったガラスから出てきたのは何かの肌。その肌は、白く雪のような色をしていた。どうやらそれは、人間の足のようにも見えた。速すぎたその一瞬で、何が起こったかはわからなかったが、窓ガラスが突き破られた後には、轟音が響いていた。

そして、その足のような物は本当に人間の足だったらしく、その足はスイロウの顔にヒットしたようだった。

そして、その足の持ち主こそ、私の友人である、ミナの足だった。

何故か、空中を舞い、ドロップキックをかましたミナは、障子を破ってスイロウを何個かある部屋の内の一つに突き飛ばした、

「助けに来たぞ!マナ!」

そのミナの顔は何故か、焦っているように見えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る