第7話発行してもらった

「ようこそ許可発行所へ!私は受付を務めさせていただいております。汐里しおりと申します!」


「私はカムル!自他ともに認める上級天使よ!」


「そうなんですね!もう一度言っておきますけど私は国の方から依頼が来てあなた方の許可証作っていたんですよね!」


「そういえばさっき聞いたわね…というか!話が早いわね!」


「あなたが国のお偉いさんに話を通したって聞いてますよ〜」


「あら〜まさしくその通りですわね〜!まさかこんなに早いとは思いも寄りませんでしたけど」


「「オホホホホホ・ヒヒヒヒヒヒ」」


俺は今、何を見せられているんだ?




時は遡り約20分前


「えっと…こっちだな」


「そうみたいですね」


俺たちは発行所に向かうためにスマホで地図を見ながら移動している。正直、始めて来た街でこんなふうにブラブラするのも悪くないな


そう思いながら歩いていたときに


「イテッ」


「グエッ!」


俺にわざとぶつかるかのように男が歩いてきたんだ


「大丈夫っすか?兄貴」


「イチチ…テメェどこ見てんじゃ!」


「は?それこっちのセリフだろ!」


「はぁ?俺が歩いてたら道開けるのが常識じゃろがい!あ〜あこの25万したジャケットに埃ついたやろがい!慰謝料とクリーニング代、あと俺を不快にさせた代…諸々で300万払って貰おうか?」


「はぁ…」


知らねぇよそんな常識……というかわざとぶつかってきたのそっちなんだからそっちの責任やろがい


「300万払えねぇって言うなら……そこの嬢ちゃんを貰おうか。そしたら、金は全部チャラにしてやるよ」


「え!?私!?」


「このお嬢ちゃんだったら、多方面から金を巻き取れそうっすね兄貴!」


なんてクズどもなんだ…そしてこいつらに喧嘩を吹っ掛けられた俺は弱そうに見えるってことだな?よし、殺してやる!


「ぶつかってきたのはそっちなんだからそっちが責任持ちやがれ!じゃねぇと殺してやる!」


「殺す?ハッハッハッ『』なんて言葉はお前みたいなヒョロガリが言える言葉じゃないんだよ。例えそれが冗談だったとしても、言った相手がこの俺『剛力のカライダス』なんだ。HAHAHA……はぁ……ガキ!テメェは俺に対して調子に乗った!それを後悔して死にやがれ!」


マズイ!


俺がそう感じた瞬間、既に目の前には拳があった。当たれば最悪死んで、当たりどころが良くても確実に後遺症になる。カムルも咄嗟で動けず、俺は避ける時間もなく、耐える気持ちで腕をクロスさせ守ろうとした。


その瞬間だった。顔をマスクで覆ったスーツ姿の人物が俺にだったその腕を手のひらで風船を触るように押さえていたのだ




「アンタは…」


その人が現れた途端に相手の態度は急激に変わり、怖気づいたかのように豹変した


誰だこの人は。俺がそう思った瞬間、その人が喋りだした


「貴様は…『剛力のカライダス』…お前はいったい何をしようとしてた?いや、言わずともわかる。一般人に手を出そうとしていたな?」


「でも…コイツが……先に…」


「そ、そうっすよ!そいつが先にイチャモン付けてきやがったんです!」


「はぁ!?あんたらが先にぶつかってきて、イチャモン付けたんでしょうが!」


カムルが訴えかけるようにその人に話し、その人はどちらが正しいとかを決めるのではなく


「どちらが先に吹っ掛けたとかは構わん。だが『カライダス』…貴様は冒険者のはずだろう?ならば力や経験などの差が大きいことなど知っているはずだ。だからこそ、今回ここで判断が鈍ってしまったのは残念だ。…………立ち入り許可証を出せ」


そう言い放ったのだ。その姿はまるで何ものも逆らうことを許さないという圧倒的な圧、それがその人から出されたのだ


「え…」


「ちょ、旦那!それってつまり…」


「まともな判断が出来、尚且つ他の者に対して優しく心を持てるまでは迷宮ダンジョンの立ち入りを禁止する!」


俺も、喧嘩をふっかけてきた男も、その舎弟も、その場にいたすべての人物(カムルとマスクを付けた人物を除く)を驚愕させたのだ。


「なんでみんなそんなに驚いてるの?立ち入り許可を禁止にされたんなら解除されるまで何かしておいたらいいじゃない」


「カムル…それがどれだけ深い傷なのかわかっているのかい?」


「全く!」キッパリ


俺はそんな彼女にその場ですぐに教えてあげられることを教えてあげた。


冒険者…それは迷宮ダンジョンに入ることを許可されていることが前提で成り立たせることが可能な職業。冒険者にはF〜Xまで(F,E,D,C,B,A,S,SS,SSS,X)あり、Fほど危険度が低く、SSSに行くほど危険度が高い。(Xとは特別なランクであり、『未知の存在』に対して用いられる。強さがFだろうとSSSだろうと、それ以上に危険だろうと、未知の存在は全てXで表される)


そんな冒険者から迷宮ダンジョンに立ち入ることを禁止させるということは『サッカー選手が直すのが難しい程の脚の負傷をすること』、『野球選手が肩を半永久的に壊すこと』、『ラグビー選手の足腰が老人のように弱まること』それらに同義と言える。つまり、冒険者として食っているものにとってということである。


そしてこれは、冒険者ギルド、商人ギルド、盗賊ギルドと、いろいろある中、自分が担当しているギルドと立ち入り許可証を発行している『』の所長の双方が承諾して初めて起こすことが可能なことである。


「…というわけだよ」


「なるほどね〜、って言っても冒険者引退しても他の仕事は続けられるでしょ?」


その質問はギルドじゃよく言われるだろうね


「冒険者退だったら大丈夫だよ。だけど『立ち入り許可証』の破棄や停止って言うとそうともいかなくなってくる」


「なんで?」


「引退だけだったら、当の本人が何か事情があるんだなだけで終わるんだけど、『立ち入り許可証』の破棄や停止(今回は停止)っていうのは、その人が悪行を重ねているので信用が出来ませんっていう捉え方もされるんだ。だから、立ち入り許可の禁止っていうのは実はとんでもなくデカいんだよ」


「なるほどね。その考え方はなかったわ」


「新しい知識身に付けれて良かったね」


俺が説明し終わると"時計の人"が待っていたかのように話し始めた


「そういうことだ。お前は、信頼が落ちたってことだな。あとお前、、、」


「「え、私?・ワチキっすか?」」


「女の方は違う、喋りがコイツ《カライダス》方の舎弟の方だ」


あの二人組の片方らしい。…w


「お前もほぼ同罪みたいなもんだが…実際に手を出していないからな2週間の間、迷宮ダンジョンに入らず自粛しとけ。ま、自粛中に迷宮入ってたら、剥奪まで行うがな」


「待ってくださいよ〜兄貴はともかくなんで俺まで対象になってるんすか!理由わけを教えてくださいよ理由わけを!」


「うん?お前ら二人が冒険者ギルドの方で悪事をやっていたらしいからな。両方とも執行対象だが、俺は手を出そうとしてた方しか処さん…というかがお前ら二人はとっくの昔に切ってもいいなと判断しなさっている。これが理由だ。もういいな。というわけで帰りな」


「チッ……クソが…」


「…待ってくださいよ兄貴ぃぃ!」


そうして俺たちの一難は去った……と思うがまだあるなこれは……

そう頭の中で考えているとあの二人を追っ払ってくれた男の人が俺たちに対して口を開いた



「……君たち……アイツにちょっかいかけられて迷惑だったな。大丈夫か?どうせなら家まで送っ俺たちてやろうか?」


「いや、俺たちは…」


福岡から来たって言おうとした途端、どこからか「お〜い!」と女性の声が聞こえてきた。俺たち全員がそっちの方へと向くと同時に男の人が来ている女性の人に遠くから話し始めた


「おっそいぞー、なにしてたんだー」


「いや〜ごめんごめん。二人だったかな?許可証を発行してたら遅れちゃった」


「だからってそんなに遅くなるものか?」


「だって〜急に申請来たからさ〜……って、ん?ん!?この子たちだよ!発行してた許可証の対象者は!」


「「「え!?/は!?/何!?」」」


俺たちは全員声が被さり、その突発的な発言に耳を疑った


「一体どういうことだ!」


「あの!私たちはこれから行く予定だったのになんでもうできているんですか!?」


「俺たちまだなにもしてないよな?」


俺たちは「なにをした?」「偽物でも現れた!?」などと議論を交わした末に来た女性が切り出すかのように答えた


「お二方は国の方からの依頼として発行しましたので料金も取りませんし、もう出来ておりますよ」


とニコッとした表情で答えてくれた


「そうなのか!?」


男の人が声を荒げて言った。これに女性はさも普通のように「はい」と一言だけ言って俺たちを発行所まで連れて行ってくれた

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魔法とテロリストと闘争でありふれた現代で天使の女の子を拾いテロリストと戦う話 @su10

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