第17話 何?ここ

「とりあえず目が覚めたけど…何ここ。」


俺は何故か真っ白い謎の空間にいた。見渡しても360度真っ白。


「え…?もしかして五億年ボタン押しちゃった?え?俺、こんなところに五億年もいたくないんだけど。」


「と…とりあえず出口探すか…。」


とにかく考えるのをやめて出口を探すことにした。

スキルで背中から翼を生やし、宙に浮く。それでも真っ白な景色は変わらない。そんなことは気にせずひたすら探すことにした。



しばらくした頃



「はぁ…一向に見つからん…。」


どれだけ進んでも上に飛んでも景色は変わらなかった。


(見つからないってことはこの空間は外の世界と全く別ってことか?確定…とは言い切れないがおそらく出口もないってことは全く違う所なのかもしれないな…。)


空中に浮きながら自分の頭の中で議論する。


(俺の持つスキルでこの空間を壊せるかもしれない…一応やってみるか…『空間破壊』。)


俺は確認のためにスキルを使った。




……あれ?




スキルを使っても何も変化が起きない。ただ砕け散ることも何か音がなるわけでもなく、ただ一切変化が起きなかった。


(…え?一応全知全能だよね?え?それにしてはこんな空間を壊せないって…俺弱くないか?)


何かおかしい。まるで何かに力を制限されているような感じがする。確かにガイアは全知全能の神(って言う設定だけど)だ。だが全知全能という割には何故か力が弱いような気が…。




「何故、あなたの力が弱いのか。教えてあげましょうか?」




「ぎょわっ!!??」


(え?!何何何!?今度はなんだよ!)


突然響いた声に思わず変なリアクションをとってしまう。そして咄嗟に声がした方を振り返るとそこには人がいた。

その姿はサラサラとした緑色と白色が混ざった長髪、ア◯雪のエ◯サみたいな(色は白)ドレス、サファイア色の瞳をした170cm以上はある恵体


「あ、あの〜…どちら様で…?」


(うわ…めっちゃ美人だ…多分東京行ったら一発でモデルのスカウトとか来るだろうな…。)


目の前に映る美貌にドギマギしている。まるで絵画から現実に出てきたかのよう。

たとえ、同性であっても目を釘付けにしてしまうような恐ろしいものを持っている。


「う〜ん、そうですね…『全知』とでも言っておきましょうか…。」


「ぜ、全知さん…?」


(いや、なんで名前が全知!?もしかしてこの人イタい人!?残念な美人さん!?え、なんなの?まさか『私は天才です』って某学園頭脳戦ラノベのリトルガールみたいなこと遠回しに言ってるの?そういうタイプのお方ですかね!?違いますよね!?違うと信じたい!)


「す、すいません…もっとなんか名前とか無いですか?」


「…?ないですよ?」


(あっ、マジで無いんだ…イタい人とかいってごめんなさい…。)


『イタい人』と思い込んでしまったことをとりあえず心の中で謝罪する。

本当に申し訳ない…。


「いえいえ、謝らなくて大丈夫ですよ?」


「ああ、そうな…なぁんで分かるのぉぉぉ!!!???」


『全知』の言ったことに今までで一番驚いただろう。さらに女性(元男だが)が出してはいけないような声をあげてしまう。


(え?じゃあその前に言ったことも…?)


「はい!バッチリ聞こえてました!私なんでも分かるので!」


『えっへん!』と言わんばかりの顔で言ってくる。


「えぇ…。」


どうやら彼女は心の中も分かるらしい。全知とはどれほど恐ろしいものかと実感させられた。彼女の前では絶対に誤魔化すことなどできないだろう。


「では、おしゃべりはここまでにして本題に戻りましょう。」


「あ、ああ!そうだったな!じゃあ教えてくれ。」


「はい、では何故あなたが圧倒的な力を持つのにあんなにあっさりとやられてしまったのか。それは…」


「それは?」




「あなたの『本来の力』が強すぎるのです。」




「……は?」


彼女の言っていることがさっぱりわからない。頭は疑問に支配される。


「…え?ちょっと待って?本来の力が強すぎるからってどういうこと?」


「それを今から説明します。」


彼女はそう言うと、自分の背後に椅子を出現させて腰掛ける。そして、もう一つガイアの背後に出現させる。


「どうぞ、お座りください。」


「ありがとう。丁度座りたかったんだよ。」


気遣いに感謝し、椅子に腰掛ける。椅子は玉座にそっくりな見た目をしていて、素人から見ても分かるような高級なものだ。座り心地は中々良い。


「先ほど言った、力が強すぎるから負けたというのも少しあります。ですが正確には、この世界に送る時にあなたの作ったガイアの力が強すぎるから制御したっていう感じですね。」


「え?俺がこの世界に転生したこと知ってるのか?」


「はい。先ほど言った通りなんでも分かるので。」


「あ、そっすか…ホントなんでも知ってるなあんた…。」


「話に戻りましょう。その『本来の力』ですが…聞きますけど、もし制御せずに転生させたらどうなってたと思いますか?」


「どうなってた?そんなの俺に聞かれてもな…うーん…この世界が壊れるとか?」


知るわけない質問に適当に答えてみる。だってわかんないんだもん。


「確かにこの世界が壊れます。」


(あはは、多分そんなんでしょ…俺知ー)







「それだけじゃなくてあらゆる次元やすべての物語とあらゆる世界、空間、時間、全宇宙、概念、その他諸々が『本来の力』を持った状態のあなたが存在するだけで一瞬で無くなります。」









……………うい?

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