第12話 終わった…

「あの…俺、神です…。」


そう言うとさっきまで騒がしかった王室がシーンと静まる空間となった。


「「「「「……………」」」」」


(……え?何か言ってくれないと悲s)




「「「「ええええええええええええ!!!!????」」」」




静まり返った空間から騒がしい空間に元通りに戻る。人間だと思って一緒に同行した者が実は神だったという、漫画でよくある男だと思って仲良く遊んでいた幼馴染が実は女で…のような、そんなシチュエーションに現実で遭遇した人間のような反応だ。


「神だと…!?」


神は人間など比べ物にならない程の、理解もできない程の圧倒的な力を持つ存在でありその気になれば世界を滅ぼすことも朝飯前、神によるがそれ以上の力を持つ種族。そんな存在がなぜここにいるのかと疑問が頭の中を駆け巡ったが、今はそんな事はどうでもいい。


王はここにいる神に跪いた。


「先程の無礼をどうかお許しください!償えるならこのアルミニウス、どんな罰をも受けましょう!」


「え!?ええ!?」


(え!?何この急展開!?なんか跪いてる〜!?どゆこと!?あ、でも王様は人間で俺は前世は人間だけど今は人じゃなくて神…立場は一目瞭然だな…。)


たとえ神と人間が100回戦っても勝つのは神、当たり前のように世界を滅ぼす圧倒的な力の前には絶対に敵わない、世界の理だ。


(流石に罰与えたりするのはあんまりやりたく無いな…。)


「あ、あの〜…別にそんな気にして無いんで大丈夫ですよ…?」


「いえ!私はそれでも受けます!」


「いやもういいって!」



「ねぇ…何この会話…。」


「わからない…私もさっぱりだ…。」


クロトとアフロディが目の前で起こっている状況に口を漏らす。



と、その時



ドガァァァァァァン!!!と轟音が鳴り響く。



「なんだ!?」


「ぐっ!?」


「!?」


「なんですか!?」


ゴゴゴゴゴという地響きが後から鳴り響く。


(今度はなんだよ!)


「…!まさか!」


(…?まさかってなんだ?おいおい、魔王とかそういうやばい奴来たんじゃないだろうな…!)


アルミニウスが窓に駆け寄る。その瞬間、彼は希望を失ったかのような顔を浮かべ、膝から崩れ落ちる


「終わりだ…これまで積み上げてきた人類の歴史…文化…世界…何もかもが…全て消える…。」


(…!?なんだって!?どういうことだ!?)


「まさか!?『やつ』が!?」


アインが必死に問いかける。


「ああ……そのまさかだ。」


「「「「!?」」」」


四人は食い入るように窓を見る。


「おいおい…まじかよ…。」


「…来たか…。」


「お、おい…みんな何があっ…!?」


俺も窓を見てみると民衆が2度目の混乱に陥っている王国の外にいたのは



ぽつんと立っている少女がいた。



(なんだ…?あいつ…。)



少女の周りの草木や花、木は枯れ果て、鳥などの動物はだんだんと骨になり、そして塵となって消えた。


(…は?)


マジでなんなんだよ…あいつ。しかも鳥が近づいたら塵になったぞ…。


「な、なあ…あいつなんなんだ…?そんなやばい奴なのか…?」


「知らないの?!『死と破滅の魔王』リリスだよ!」


「嘘だろ?魔王なのかよ…クロト…あいつやばいの?」


「はぁ!?『やばいの?』じゃないよ!そういう次元じゃないんだよ、あいつは!」


「た、例えば…?」


「ああ!もう!説明してる場合じゃないよ!どうしよう!?」


その時、バァンと王室の扉が思い切り開かれる


「国王!奴が…リリスがこの王国に近づいています!」


「くっ…。」


(考えろ!たとえ四賢神を送ってもこの王国が滅びるのは時間の問題…!奴は神にも匹敵する程の力持っている…この王国の全軍を送ってもただ返り討ちにあうだけ…だがアーサー家代々受け継がれたこの王国を決して捨てるわけにはいかない…。)


王はちらっと俺の方に目をやる


(ん…?なんだ…あ…まさか俺をあの魔王と戦わせるとか言わないだろうな…。)


(この者のことはよくわからない…わからないが、我々人間にあの魔王を倒すなど不可能だ…虫がいいのは分かっている…だがこの方法しかない…!)


そして王が下した決断は


「頼む!神よ!あの魔王を倒してくれ!」


「「「「!!??」」」」


(え〜〜〜〜〜!?!?)


はぁ!?王様ぁ!?何言っちゃってんのぉぉぉ!?

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