第7話 俺、異世界来たんだな
「あ、そろそろ見えてきたよ。」
クロトが指を指す方に目を通すと、そこには大体20〜30メートル程の防壁があり、その下には開かれた門がある。
「ここか…そのログレス王国ってのは。」
「ああそうだ、ここがログレス王国。俺たちの故郷でもあり、家っていう感じだ。」
「いやほぼ同じこと言ってね…?」
俺はベルフの天然ボケ(?)にツッコむ。
いやそんなことは気にせずに!
他の四人と同じタイミングでスキルを解除し、地面に着地する。
「聞き忘れてたけどあとお前達ってなんであの森に来たんだ?誰かの依頼とかか?」
「そういえば言っていませんでしたね。私たちは王様の命令できました。」
なるほどね…こいつら四賢神っていうのは王様の直属の部下ってわけか。結構位は高いんだな。
(お、そろそろ門前まで来たぞ。)
話してたらもう門の前まで来てしまった。
そして俺達はその開かれた門をくぐる。
「うわ……やべぇ……。」
目に映ったのはザ・異世界っていう感じの街並み。中世ヨーロッパのような木造の建物、城、商店などが立ち並んでいた。
(ああ、俺異世界にきたんだな…。)
「「「「ようこそ、ログレス王国へ。」」」」
四人の歓迎の言葉も聞こえないくらい俺の目はこの王国の街並みに釘付けになっていた。
「ありゃりゃ、見事に見惚れちゃってるね。」
(当たり前だ…こんな光景俺がいた現実世界では絶対に無かった…それに神様、ありがとう。やっぱあんたいいやつだよ…。)
なんだかこの景色見たら今まで黒歴史だと思ってたこの姿も悪くないような感じがした。
「あ、ああ!綺麗すぎてすっかり見惚れてた!ごめんごめん!」
「ふふ、大丈夫だよ。」
「この王国に見惚れるのは結構だが、まずは城に行って王様に報告するのが先だ。」
今から行く城ってあの真ん中に建てられてる城か。
「おっと、忘れてた。できればここを案内したかったんだがまだやることあったんだったな。メンドクセ〜。」
「おい!王様の命令に口を出すんじゃないとさっきも言っただろう!」
「ったく…お前ほんと口うるせーな!」
「うるさいのは貴様の方だろう。何を言い出すのかと思ったらめんどくさいだのだるいだの好き勝手にいう貴様の口の方がうるさいと思うがな。」
「んだと〜!?」
「まあま「「だからうるせえ(さい)!!」」
「うう…また言われた…。」
「いや、メンタル弱すぎでしょ…ほんとに止める気あるの?」
「クッ…クロトまでぇ…。」
うわ〜…こいつらめちゃくちゃだな…仲間同士のチームとしての団結力とかそういうの無いのかよ…。
「な、なあ。あの二人いっつもあんな感じなのか…?」
「はぁ…まあね…なにかあったらすーぐあんな感じに喧嘩しちゃうんだよ…。」
「そ、そうなのか…。」
クロトも多分これに疲れてるだろう。
んじゃ、人生の先輩(多分)であるこの俺が言ってやるか。
「おいお前ら。ごちゃごちゃごちゃごちゃうるさいんだよ。子供か?お前ら。」
「んだよ!」
「なんだ。」
二人が俺の方を見る
「ひとつ聞くがお前ら、何のために四賢神やってんだ?」
「はぁ!?国守るために決まってんだろ!」
「このログレス王国を守るために決まっているだろう。代々王家がこのく「はーいここまで!」な!?」
はぁ…ちがう。分かってない。
こいつら、何が良くないのかわかっていない。
俺はまだこの世界のことなんて一ミリもわからない。
だけどな
「お前ら二人の言う通り、この国を守るためだろう。じゃあ、質問だ。目の前で子供が魔物かなんかに襲われているとしよう。お前らならどうする?」
「そりゃ助けるだろ!」
「助けるに決まっているだろう。」
「ま、当然だわな。だけどな…もしもその時、子供をどう助けるとかそういうくだらないことで争っていいのか?」
俺は二人に強烈な圧をかける。
「ぐっ…。」
「…。」
お、効いたみたいだな。
「ぐっ…だがこいつが「うるせぇんだよ。」!?」
アフロディが何か言おうとしたが俺はさらに強い圧をかけて止める。
「じゃあもし助けられなかった時、そうやって言い訳するのか?助けられなかったのはこいつが悪いとか、いや自分じゃなくてこいつが悪いってそう言うのか?」
「ち…違う…。」
俺はドスの効いた口調で言う。
「この世の中お前らの言い訳なんて人の命と比べたらクソどうでもいいんだよ。ごちゃごちゃごちゃごちゃ言ってないで迷わず動け。止まってたら何もかも失う。世の中そういうふうにできてんだよ。」
「「…………。」」
力をめちゃくちゃ加減して地面を殴る。拳サイズのクレーターができた。
「おい…わかったら返事しろ。」
「「は、はいぃぃ!!」」
こんな感じかな…ってあれ?なんでクロトもそんな怯えた顔してるんだ?
あとアインは何故か泡吹いてるし…。
「き、君ってさ…意外と怒ると怖いんだね…。」
えぇ…?俺そんな怖ったか…?
「でもありがとう。おかげでなんかすっきりしたよ。」
「お、おう。それならよかった…。」
「それじゃあ、城行こう…って言いたいところだけどアインが泡吹いてる…どうしよっか…。」
「運んでく?」
「でも重いよ?」
「重いって何ですか!!」
あ、なんか意識戻った。
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