第3話 おい、神これどういうことだよ

あのですね、今一番思い出したくないもん見せられた様な気がするんですよ。いや…ね?すごいんすよ(?)


いや、もちろん異世界に転生させてくれたのはすっごい感謝してる。

ありがたいけどな………



「これは聞いてねーよォォォ!!!!」



俺の悲痛な叫びが森に響き渡る。そこにいた鳥や動物たちがびっくりしたのか次々と去っていく。


「はぁ…はぁ…なんで俺の黒歴史この世界で思い出させられなきゃなんねーんだよ….。ふざけんなよマジで…(泣)。」


「ラノベ主人公みたいになりたいとは確かに言ったけどなんでよりによりってこんな姿なんだよ…。」


わざわざ手紙の最後にステータス見れるって書いたのそれ思い出させたいからなのか?神様俺を殺す気か?


もう多分どうせずっとこの姿のままだと思うし、俺が学生の頃考えたこのキャラの設定を紹介しよう…。


『神々の始祖』ガイア

さっき言った通り、俺の考えたキャラ…

神、法則や概念、無限の世界、数多の宇宙、あらゆる生命、物語、神話などを生み出した全知全能の女神…っていう設定。

もちろんステータスに表示された能力も全て俺が考えたもの。


まるで『ぼくがかんがえたさいきょうのきゃら』みたいな設定。巻き戻れるならあの時の俺に『絶対後悔するぞ。』って言ってやりたい…。


「けど、せっかく来たんだし異世界ライフ楽しむしかないか〜。」


ま、どうせウダウダいったってなんも変わらないしせっかく与えてくれた人生だ。楽しむ他ないだろう。


「まずは、この森から出ないとな。ここにずっといてもつまらないし。」


出口を探すために体を起こし、俺は森の中を歩く。




しばらく歩いたんだが…


「出口どこだよ…。」


えーっとですね…今絶賛迷い中です。

ていうかさ…


「この森深すぎだろォォォ!!!」


「あの神ィ!いいやつかと思ったら意外と性格悪いんだな!よし!会ったらドロップキックからのラリアットかましてやる…。確かに転生させてくれたのはすっごいありがたいんだけどさ!なんでこんな姿でこんなクソ深い森にすっぽかすんだよ!」


第二の人生をくれた神に愚痴を吐き散らしながら森を彷徨う。


吐き散らしていると一本の木が目に入った。


「あー!イライラする!なにが『神ですよ〜』だよ!優しい神様ぶってんじゃねー!!!!!」


      

俺はその木を弱めに蹴った。





そして、ドガァァンという轟音と共に周りの木が薙ぎ倒され地面には地割れが起こった。



(へぇ?)汗



ありのまま今起こったことを話そう…。


俺はあの転生させた神に対してイライラしたから、木を蹴った…。


自然破壊野郎だってみんな思うかもしれないが今はそんなこと言ってる場合じゃあない…。


俺は今どういう状況かわかってない…。


頭がどうにかなりそうだった…。


強い力とかそんなチャチなもんじゃない…。


てか神様絶対調節ミスってるだろ…。


「あ、でも出口できたからいっか…いやよくはないか。」


だか、おかげで森の出口ができたし、もうこんな深い森とはおさらばできる。



これが俺の異世界ライフに影響を及ぼすとは知らずに…。




「なんだ!?今すごい音がなったぞ!」


「どこからなの!?」


「おそらく王国の外からだ!」


先ほどの轟音の音源を探ろうとざわざわと騒ぎ出すもの、中には怯えているものもいた。


そんな状況の町をこの王国の中心に聳え立つ城の窓から国王である『アルミニウス・アーサー』は見下ろしていた。


「今の音は一体なんなのだ…!何があっ…!?」


彼は自分の目を疑った。


その光景はこの高く聳え立つ城の窓からはっきりと見えた。


この王国を囲む防壁の向こうの森は数多くの木々がことごとく薙ぎ倒され、その地面は大きく割れていた。


「なんということだ…!これは一大事だ。あの地面を割るほどの力…まだわからないがもし強大な魔物がここを襲撃してきたら…。」


この王国『ログレス』は代々アーサー一族が受け継いできた王国。


祖先である『英雄』デウス・アーサーによって建国され、長い年月をかけて並の国では比べ物にならない程の繁栄を手に入れた。


そんな国が何者かによって滅亡に追いやられてしまったらたまったものではない。


「こうしてはいられない!すぐに『四賢神』を派遣させる!」


ガイアが森から出れて安心している間に王国は大混乱に陥っていた。




「よっしゃぁぁ!やっと出れたぁぁぁ!」


俺、坂木康二あらためガイアはあのクソ深い森とおさらばできた喜びに浸っていた。


「あんな森にすっぽかして、しかも俺の黒歴史思い出させるとかまじであの神殴りてぇわ…。ん?待てよ…?」


ふとスキルのことを思い出した。


そういやまだ一回も使ってない。どんなのあったっけ?


俺は持っているスキルを表示させる。




『神々の始祖』ガイア


性別:女


種族:神族


スキル

『全知全能』『万象改変』『宇宙操作』『世界創造』

『世界改変』『世界崩壊』『法則改変』『物語改変』『設定改変』

『時間操作』『空間操作』『能力改変』『神器錬成』『万象操作』

『因果律操作』『全属性魔法』『万物創造』『万物破壊』『全次元干渉』etc…(いっぱいありすぎて省略)


防御スキル

『全スキル反射』 『改変無効化』『全攻撃無効』『薬物無効』

『自動反射』



うん…いつ見てもチートだな。


俺はその中の『全知全能』と表示されたスキルを見つめる。


ていうか、さっきこれ使っときゃすぐ出れたくね?


うわ…まじでやっちまった…なんであの時スキル使わなかったんだよ…。


多分あの神にイライラしすぎてスキルのことすっかり忘れてたからだと思うわ…あれ使えば簡単に出れたかもしれないのに…。


そう思いながらふと右に目をやる。


すると、こちらに四人俺の方に向かってくるのが見えた。

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