私は子供の頃に近所の森や裏山を冒険、あるいは行軍と称して散策した事がありました。
仮想敵に対抗するための木剣やエアガンを携え、何があるやもしれない――本当は何もない事を知っていたのかもしれませんが――薄暗い森を歩いて行った、そんな昔を想起させるお話です。
もっとも現実とは違い、作品内には超常的な要素も多々登場します。
けれども、そんな事象に対するキャラクターの反応にはリアリティがあり、もしも自分が同じ事に遭遇したなら、きっと同じような反応をとっただろう、と共感させてくれました。
架空の社会主義国家が舞台との事でしたが、その点はあまり深くは描かれなかった所が少し惜しく感じもしましたが、今作をこの先に続く物語の序章と捉えると、軽めの描写に留めたのは正解と思います。
ナターシャ・ユリエヴナの冒険計画は、まだ始まったばかりなのかもしれません……
続きが楽しみです。