雑草

今、君が立ち止まり、生き辛いと感じているのは何の影響によるものなのだろう。


それは、君を取り巻く社会が織りなす悪意による影響だろうか?


確かに社会は理不尽なことが多い。必要なものを守るために不要なものを切り捨てることもある……そう、地面に生える雑草を抜き捨てるかのように。


それは、君自身が理想とする考え方とのズレによる影響だろうか?


確かに生きて行く中で指針となる理想や目標は大切だ。だが、それに縛られてしまっては他の物を犠牲にしてしまう……そう、畑に生える雑草が他の植物の栄養を奪うかのように。


言い得て妙ではあるが、君は雑草なのだ。良くも悪くも、それ以上でもそれ以下でもない……ただ、必死に今を生きているだけの雑草なのだ。


だが、君は自分が雑草であることを嘆くのではなく、もっと誇るべきだ。


何故なら、枯れた雑草は腐食することで土壌に栄養をもたらし改善してくれるから。


それは、君という人間がどのような人生を歩もうとも、何かの形で社会に貢献出来ていたり、誰かの背中を押してあげることが出来ているかもしれないから。


何故なら、雑草の存在自体が植物や微生物の生態系を生み、形成する要因だから。


それは、君という人間に限らず、生きるものすべてが必要に応じて繋がり、手を取り合い、この社会を築き生きている証拠だから。


何故なら、雑草の繁殖は地面の露出を防ぎ、土壌の水分の蒸散を抑え地温の維持に貢献し、植物を寒害から守る盾になれるから。


それは、君という人間がいることで守られている人がいることを証明しているのだから……そう、君は誰に言われなくとも必要な存在なのだ。


植物学者の牧野富太郎氏の言葉に次のようなものがある……

『雑草という草はない』

人には誰にでも名前があり、その存在を軽んじていい人などいないのだと。


君が生き辛く感じたのは、雑草という草だったからかもしれない……


だから気付いて欲しい……



君は確かに雑草ではあるが、名前のある唯一無二の存在であるということに。

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