影と共に

日の光は全ての物に対して平等に降り注ぎ、そのものの影を映し出す。


今、君に向けられているその光は他者の目だ……自分の意思とは無関係に向けられる周囲からの目だ。


その目に映る君の姿は、もう一つの君の姿を映しだす……


その光によってもたらされた影……そう、君の見せたくない自分の姿だ。


だが、君と影は切り離すことなど絶対に出来はしない……影も君自身なのだから。


そんな影にも光は容赦なく降り注ぐ。


必死にその影を隠そうと君が体を張ろうが、影が無くなることはないのだ。


むしろ庇えば庇う程、君に光が当たり影が出来るのだから。


君は何故そこまでして影を隠そうとするんだい?


そんなに怖いのかい? その影を見られることが……。


その影を庇い続ける今の君は、本当にそれでいいのかい?


自分を偽ってまで光に晒していい部分だけを作りだす必要があるのかい?


影がもたらすものは、決して悪いものだけではないはずだ。


相反する両極があるから、光がより鮮明に美しく見えるのではないだろうか。


影もまた、光が無くては決して生まれることはない。


その生まれた影によって光に晒されずに済むことだってあるはずだ。


君もそうだろう? 人の目を気にして作り上げた自分は、本当に輝いているかい?


自分が作りだした影を否定し、隠そうとしていないだろうか……。


人が見せる僅かな陰は、時として魅力的にさえ感じることだってあるだろう。


影の全てを光に晒す必要はない……そんなことをしてしまったら、光によって影自体が消されて無くなってしまうのだから。


それは、君から影を……守りたい秘密を公に晒すようなものだ。


そんなことは誰も望んではいない。何もそんなに難しく考える必要はないはずだ。


普通に君自身が光に晒されるときに出来る影も同じように光に晒してあげればいい。


君と影は一心同体、切っても切れない対極の関係性……


ならば、その影が光に晒されて消えそうになっても、君自身に当たる光が新たな影を生んでくれる。


そうやって、必要に応じて影を生み出し、守るべきものを守ればいい。


だから、ありのままの君でいいんだ……心から笑っていられる偽りのない君の姿で。


ただ、君には影と共に光に晒される人であってほしい。



自分を偽ってまで影を隠すような生き方をするよりも、その影を尊重して美しく光り輝く君であってほしいと心から思うから。

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