河原の石ころ

今、君の足元にある何の変哲もない石はどこから来たのだろう。


この河原を見渡す限り、同じような石が数えきれないほどにひしめいている。


そのどれもが小さく、綺麗な丸みを帯び、隙間なく重なり合っている。


君は知っているはずだ、この石達が長い時間をかけて川上から流れ着いたことを。


川上にあったときはあんなに大きく角ばって、他を寄せ付けない強さを持っていた。


川を流されていくうちにその角は取れ丸みを帯び、徐々に小さくなっていく。


川下についた時には綺麗な曲線をした小さな石に変わっていた。


綺麗な曲線を持つ小さな石はお互いに寄り添うことが出来る。


時には大きなままで流れ着く岩石もあるだろう……しかし、そんな岩石が相手でも小石となった今では寄り添える。


今の君はどうだろう、まだ大きく見られたいと強がって尖ってはいないだろうか。


もしそうだとしても人生という名の川をゆっくりと流されていくうちに傷つき、悩み、少しづつだが周りを意識して小さくなってくるだろう。


だが、それでいい。例え小さくても痛みを知り、それに耐え、丸みを帯びたその精神は何よりも大切な優しさの象徴だ。


急がなくてもいい、マイペースでいい、一人一人進む速度も歩幅の大きさも違うのだから。


そして人生の流れ着く先には同じような人が多くいるはずだ……。



だから思うんだ……君にもこの石ころと同じように寄り添える人であって欲しいと。

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