第6話
あの怒涛の2日間から数日経ち本格的に色々な指導が始まった
座学、筋トレ、武道、射撃訓練、体幹トレーニングなど色々なことをしていてかなりきついのが本音だ
指導もかなり気合が入っていて途中で投げ出して脱退する人も数人いた
私は辛くても奥寺さん、じゃなくて奥寺指導官の美しい美貌を眺めてるだけで疲れなんてなくなるから脱退なんて考えられないけどね
「じゃあ俺はそろそろ部屋戻るわ。彼方もちゃんと寝ろよ?」
「眠くなったらぼちぼちね。お疲れー。」
射撃訓練場から優斗が出ていく
夜中でも射撃訓練はしても良いらしくここ数日は深夜に優斗と一緒に射撃の練習をしている
射撃音だけが鳴るこの場所は私に取ってとても居心地がいい
「まだ寝てなかったの?」
射撃音だけだった室内に1人の女性の声が響く
「えっ、」
声のする方を振り向くとそこには奥寺指導官が立っていた
「奥寺指導官...」
「こんな時間まで自主練しててえらいね。一ノ瀬さん訓練生の中でも頭ひとつ抜けて上手いのに。」
名前、覚えてくれてるんだ。嬉しい。
にやけそうになるのを堪える
「褒めていただけるなんて嬉しい限りです。もうそろそろ寝る予定です。」
て言うか何でこの時間に奥寺指導官がここにいるんだ...?
「明日のためにも寝た方がいいよ。あと言いたいことあるんだ。」
そう言って近くに来て私の頬に冷たい奥寺指導官の手が触れる
まてまてまてまて
どう言う状況だよ!?!?
私の初恋の人が超至近距離にいるんだが...
「私さ、一ノ瀬さんのこと好きなんだ。一目惚れした。ね、キスしていい?」
「へっ........?エッ?えっ?何言ってるんですか..?」
奥寺指導官が私のこと好き?一目惚れ?
これ夢か?夢だよな?うん。夢だ
夢ならキスくらいしてもいいよな
こちとら何年もこの人のこと想ってきたんだぞ
こんくらいしても罪はないよな
奥寺指導官は少し微笑んで私の腰に手を回してきた
それに合わせて私も奥寺指導官のシャツの裾を軽く掴む
それからゆっくりと瞼を閉じて奥寺指導官の手が私の頬を撫でてから、そっと唇を重ねた
しっかりとした感触があった
夢じゃないんだ
「拒否んないんだ。顔合わせの時も目合ったし、もしかして私のこと気になってたりする?一ノ瀬さん美人だし恋人いると思ってたけど、結構脈アリ?」
体が熱い。絶対今顔赤い。恥ずかしい。
ていうか、目合ってたし、気になってるどころか私はあなたに7年ほど片想いしてるんですけど...
それに美人だって言ってくれたけど美人なのは奥寺指導官なのに...
「綺麗だなって思って見てただけですし、奥寺指導官とならしてもいいかなって思っただけですよ....あとずっと片想いの人がいるので恋人はいませんよ」
あなたのことですよ!!
もう昔のことなんて覚えてないのかな...
それでも好きって言われて嬉しいけど...
「ふーん、私とならしても良かったって片想いしてる人いるのに?ってかそれよりさ、やっぱり射撃上手いね。全部ど真ん中じゃん。」
それはあなたがその片想いの人だからだけど、この気持ちは抑えておくって決めたんだ...
指導官と訓練生の禁断の恋なんてしちゃったら殺されるかもしれないし...
そう言われれば打った弾丸は全部ど真ん中に当たっている。
「あれ、?一ノ瀬さん右利きだっけ?前の訓練の時左で撃ってた気がしたんだけど。」
「左利きですよ。今は右でも撃てるように練習してます。」
「...あは、利き手じゃなくても全部ど真ん中ね..君は天才みたいだね。」
天才か、今まで何回も言われてきた言葉だけど奥寺指導官に言ってもらえると嬉しいな...
「ありがとうございます。それでは私はここで失礼しますね。」
まだ体が熱を帯びてて顔が赤いだろう
恥ずかしいから早く部屋に戻って寝よう
「うん。おやすみ。さっき言ったこと本気だからね」
本気。
本気で私に好意を寄せてくれているのか
嬉しくて叫びたい...
「はい。それでは。」
冷静を演じて訓練場を去り、自室へ向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます