第5話

「..........え。マジ?彼方の初恋の人って、あれだよな。えーと。今高3だから....大体7年前?」


「そうなるね。ほんとにびっくり。だけどとっくに諦めはついてる。」


嘘だ。諦めなんてついてないしあの時から気持ちは変わってない。変われてない。


高3にもなれば今までたくさんの人の好意を受け取ってきた。

自分で言うのは気が引けるが私は世間一般で言う美人という括りに入ると思う。

こればかりは死んだ父と母に感謝している。

そのおかげもあり高3までで両手に収まらないほど告白はされてきた。

しかしどんなにかっこよくて運動ができて頭が良くて性格が良くても初恋のあの人に比べれば全く惹かれなかった。

だから私は一度もあの人を忘れたことなんてなかった。

何度も忘れようと思っても忘れられない。

どこの誰かも知らない女の子に恋をして、それを忘れられずに諦めきれずにここまでくることはとても辛かった。

だからあの人を見つけた瞬間はもしかしたらこの恋が叶うのかもしれないと思った。

しかしその希望は自分によって否定された。

理由なんていくらでもある。

7年前のことなんて誰も覚えていない。

そもそも相手は女性。


だからこの気持ちは心に留めておこうと決心した。あの人の近くに入れるだけで幸せだ。


「嘘つくなよ。諦めついてる顔じゃねーぞ。」


優斗は私の顔でわかるらしい。だけどこの気持ちは隠さないといけない。


「お待たせして申し訳ない。私の名前は如月燈也きさらぎとうやと言う。事務部教務隊長という肩書きだ。主に君達の指導を行う。」


1番初めに入ってきた男性が話し始める。

隊長と言っていたからそれなりに偉いのかと思ったが、そもそもこの組織の構成がよくわかっていないため偉い人なのかそうではないのかほ今はわからない。


「同じく事務部教務副隊長の柊千暁ひいらぎちさとでーす。燈也隊長の補助だったりその他雑用をやらされてます。あ、あと彼氏募集中です!」


うわ、めっちゃあざといな

だけどあの美貌のおかげで許されてる感はあるけど隣の隊長からめっちゃ睨まれてる...


「右に同じく、事務部教務所属の奥寺遥おくでらはるかです。よろしくお願いします。」


どうやらわたしの初恋の人の名前は奥寺遥さんというらしい。

柊さんの自己紹介に少し微笑みつつ余裕のある感じがありとても大人っぽい。

綺麗という言葉だけでは表せないほど美しい。


彼氏とかあるのかな...

いたらめっちゃショックだな...

いやあんなに美人な人に恋人がいないわけないか



って、え、今めっちゃ目合ったよね、??


わたしには奥寺さんが少し驚いた顔をして数秒経ってから少し笑ったように見えた。

多分気のせい。




3人の自己紹介の後は如月さんが対非政府組織もといpromessaについての説明や、非政府組織についての説明などがされた。


要約すると


この日本という国には目的は不明だが政府に反発するため国民の命を奪ったり、国の研究施設を襲い、大切な情報や研究成果物を盗んだりしている非政府組織なるものが存在する


その非政府組織がどこに身を潜めているのか、はたまた何人いるのか、どのような人間が非政府組織にいるのか、誰が率いているのか、多くのことが定かではないのが現状だ


非政府組織は約100年ほど前からあるらしく、政府がこれに対抗するために作ったのが対非政府組織promessaだ


今のpromessaには約300人が所属していてpromessaには

全体をまとめて指示を出している〝組長〟

(なんか名前がヤクザなんだよな...)

組長を補佐していて実質No.2の〝副組長〟

の2人の下に


〝事務部〟〝特別調査部〟〝防衛部〟〝環境部〟

の4つの部があり、


それぞれのトップの

事務部長、特別調査部長(長いので特調とっちょ部長と略される)、防衛部長、環境部長


と呼ばれる人たちの下にそれぞれの部長の補佐をする副部長、


それぞれの部に3つずつある隊の隊長、

副隊長が続きその他大勢の人間はそれぞれの部の中の隊に所属している



34名の役職名のある者達が幹部と呼ばれている

またどの部に所属されるかは指導期間が終了した後に自分で部を選び、希望する部の部長が承認することで決まる




とこんな感じで説明された

私達は明日から指導が始まる

そして指導を担当するのは先程自己紹介をしていた事務部教務の3人が中心だそうだ。


ってことは奥寺さんと話す機会があるかも...




「以上だ。質問もなさそうなのでこの後は昼食、入浴を済ませて個人個人の部屋で就寝だ。詳細については隊員に従ってくれ。それではまた 明日。朝はしっかり起きろよ。」















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