第2話



「おーいかなた。おきろー昼休み終わっちまうぞ」


「ふぁぁあああ授業めんどい。」


「てかお前4時間目の数Ⅲから寝てたって聞いたぞ...ったく、学年1位だからって教師陣もお前のこと起こさないし、これだからかなたがダメ人間になるんだ。」


せっかくの睡眠時間を邪魔してきた人間。

その名も清水優斗。

こいつとは中学から高2まではずっと同じクラスで幼馴染じゃないのに幼馴染みたいな関係だ。


「てかかなた。お前寝てるときニヤニヤしてたけどどんな夢みてたんだよ全く」


「小5の時の夢見てた」


「あー、初恋の?」


「そー。てか早くクラス戻りな優斗。まだ眠いから寝かせて。」


「そりゃ失礼しましたよーだ。せっかく起こしてやったのによ。じゃーな」


優斗はああ見えて成績もそこそこ優秀でサッカー部でエースなだけあって運動神経も良い。そのおかげか先生たちからの評判もとてつもなく良い。

あと周り曰く顔も整っていて俗に言うイケメンらしい


まぁそんなことはどうでもいい

次の授業は古典だ

まぁ睡眠時間だ

そんな事を思っていると昼休みの終わりを告げる予鈴が鳴った




「じゃあここの動詞の覚ゆの主語を.....一ノ瀬。答えろ」


うわ、寝てたのに指された。教科書開かないと...

あれ?なんか聞こえる?なんだこの音


「先生この音なんですか?ガラスが割れるような音が外から...?」



その瞬間、教室の窓が割れた。

そして黒のスーツの男性4人ほどが拳銃らしきものをもって教室へ入ってきた。

ガラスを銃で撃って割ったのか?

ここ五階だぞ....?どうやってきたんだ...

校内中どこでも悲鳴が聞こえた。

どうやら他のクラスでも同じ状況らしい。

こいつらが何者なのかどこからどうやってきたかわからない。

わからないことだらけで珍しく動揺してる自分に驚いた。

周囲を見渡すと腰が抜けてる人。怖くてなにもできず動けなくなってる人。廊下へ逃げようとする人。両手を挙げて降伏しようとする国語教師。


「静かにしろ。静かにしないと殺すぞ。」


驚くことに1人の怪しい黒スーツの男が一言喋るだけで教室が静まり返る。他のクラスからも悲鳴が聞こえないから同じ状況が他のクラスでも起こっているのだろう。


「私達は対非政府組織だ。説明すると長くなるが、簡単に説明する。まずこの日本には非政府組織なるものがある。詳細はまだいえないがこいつらを調査し、潰すために作られたのが私たち対非政府組織だ。だから安心して欲しい。私達は君たちの仲間だ。しかし仲間になるためには試験を乗り越える必要がある。」


この男は何を言っているんだ。それはここにいる誰しもが思ったはずだ。

そもそも仲間とか言ってる割には窓から拳銃持って入ってくるのどう考えてもおかしいだろ。


「試験の内容は簡単だ。これから10分間生き延びろ。ただし私達はただの置き物だ。よって手を貸したりはしない。そしてこれからお前たちが見るものは非政府組織が研究開発した恐ろしい化学兵器だ。それでは健闘を祈る。

ってそうだ。忘れてたがこの校舎外に逃げようとした場合は私達が撃ち殺す。」


いや、まてまて普通に意味がわからない。

これは夢か何かか?現実じゃないだろ絶対...

まぁけどやるしかないのか....


「それでは始める。今から10分間だ。」


男がそう告げた途端に窓から何か入ってきた。

動物...?いや、黒すぎる。

なんだ?

そんな事を考えてる間に窓の近くにいた女子生徒は叫んで対抗しようとしたが動物のような物に襲われた。

学校内の至る所から悲鳴が聞こえる。

なんだこの現実は地獄か?









5分間観察していてわかったことがある。

それは黒い動物のような何かは“音“に反応してる。

私の予測だと目は見えてない。その証拠になぜか黒スーツの男4人は誰も襲われてない。

なんならこの試験が開始してから私も1ミリも動いてない。

その5人(私も含む)の共通点は音を立ててない事だ。

この予想外したら普通に死ぬの怖すぎる。

こればかりは自分の勘を信じよう。


そして私は目を閉じた。



同時にたくさんの銃声が聞こえるまで。


銃声が聞こえ、目を開けると黒スーツの男達が銃を構えていた。そして先程まで暴れていた動物のような何かは生き絶えていた。


同じクラスの人間は誰1人として意識がなかった。











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