ファイル.02 神隠しの村に巣食う大蛇と二人の姉妹(10)
三人は宿泊していた古民家に戻ってきた。
「先生、コーヒーいれましたよー」
まりえが車の準備をしている間、九十九とサキはコーヒーを飲みながら話していた。
「まりえさんにも怪異が残っちゃったんですね」
「怪異が交じっているのは、私と君も同じだけどな」
「でも先生、本当に姦姦蛇螺みたいな怪異が存在するんですね。私、今でも勝てたのが信じられないです」
「怪異の中でもトップクラスに有名だからねえ。今回倒せたのは本当に運がよかったからだよ」
「それにしても、スピリタス、用意してきて正解でしたね」
「生物系の怪異に対しては、炎は有効な武器となるからね。アルコール度数が高いから、傷口の消毒なんかにも使えるし。いずれにせよ、準備が大事ってわけさ」
「ゲームでいうところの炎の魔法みたいなもんですからね。そう考えると、魔法が使えるキャラってすごくないですか? だって、何も無いところから好きなだけ炎を出せるんですよ」
「うん。でも、魔法使いってさ、炎を出せるのがすごいんじゃなくて、それをコントロールして攻撃に使えることがすごいんだよ。炎を出すだけなら、今回みたいにライターがあれば簡単に出来るだろう? そして、スピリタスがあったから姦姦蛇螺を攻撃することが出来た。魔法使いは、今回のスピリタスと同じ効果を、魔力をコントロールするだけで行なえるのがすごいのさ」
「なるほど、確かにそうですよね」
「私たちも、特異能力を持っているけど、それだけじゃあまり意味が無いんだ。もっと能力をコントロール出来るようになれば、出来ることが増えて、怪異と今よりもずっと楽に戦えるってこと。だから、お互いにもっとがんばって能力を磨いていこう」
「そうですね。それじゃ先生、帰ったら早速修行しましょー」
「修行って。少年漫画じゃないんだから……」
九十九は半分呆れながらも、サキの意識の高さに感心していた。
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