ファイル.01 鏡に映る迷子の少女と帰れない駅(16)
三人が駅を去った後、黒い山高帽を被った男が、駅のホームに佇んでいた。
「コードナンバー99、九十九卯魅花。死にかけのコードナンバー0を吸収したとは聞いていたが……。アノマリーサブジェクトのラストナンバーだった彼女が、ここまで出来るようになるとはな」
そう呟くと、男は静かに駅から立ち去っていった。
◇◇◇
「ずいぶん遠くまで歩いてきましたねー」
「本来なら電車で進む道だからね。でも、こうやって何事もなく進めているということは、この道が正解だという証拠でもあるよ。だから、がんばって進んで行こう」
三人がそのまましばらく進むと、目の前に大きなトンネルが現れた。
「トンネルか……」
「どうしたんです、先生」
「きさらぎ駅の都市伝説では、何故か脱出の時にトンネルを抜けるのはタブーとされているんだ」
きさらぎ駅から元の世界に戻る方法として、やってはいけない行為に、線路を歩いてトンネルを抜けるというものがある。
都市伝説では、きさらぎ駅から線路を歩いて脱出しようとすると、伊佐貫というトンネルが出てくる。
このトンネルを抜けた先に、謎の男が立っていて、その男に連れ去られてしまうのだ。
「なるほど、元のお話からすると、トンネルを抜けるのは危険だということなんですね」
「そういうことだね。だが私たちには他に選択肢が無い。このトンネルを進んでいくしかないよ」
外は明るかったが、トンネルの内部はまるで常闇の世界のように、漆黒の闇が続いていた。
九十九は持っていた懐中電灯のスイッチをつけると、トンネルの奥を照らした。
「トンネルの奥から光が見えないね。かなり長いトンネルみたいだ。サキ君、百華さん。離れ離れにならないように、ここからは手を繋いで進んでいこう」
三人はトンネルの中をゆっくりと進んでいった。
どんどんと線路の上を歩いていったが、その間、九十九たちには気が遠くなるような時間が経過しているように感じた。
そして、長時間歩いていたため、九十九たちが疲れ果てて倒れそうになったちょうどその時、目の前に微かに明かりが見えた。
「ようやく、トンネルの出口が見えたね」
「あそこが、外の世界の入口だといいんですけど……」
三人がトンネルから出ると、外は夜になっていた。
不意に三人は後ろから声をかけられた。
「線路に入ってはダメです! 線路から離れてください!」
振り返ると、線路の点検作業をしている男性が怒っていた。
「線路の点検作業中でしたか。邪魔をしてすいません、今出ます」
線路を点検していた作業員の男性から注意された三人は、線路から離脱した。
「先生、見てください。私のスマホが、圏外じゃ無くなってますー!」
サキは喜びを爆発させて、九十九に抱きついた。
「どうやら、元の世界に戻ってこれたようだな。本当によかった」
こうして、九十九は、二宮百華をささぎ駅から救い出すことが出来た。
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