第2話 「民の声は神の声なり」
芥川龍之介は「おやおや。」と呆れているだけで、「名誉を傷つけられた」なんて言いません。
小説家とはエンターテイナー(人を楽しませてお金をもらう)であり、この小説を読んでためになった、勉強になった、楽しかった.、悲しかった、恐かった、等々、読者の心を刺激し豊かにしてくれるものを書く(創作する)人のことなのですから。
<引用開始>
「芥川龍之介の作品を知らない芥川賞作家」芥川賞作家の名誉を毀損、16万5000円の賠償命令 [2024年7月19日 共同通信]
芥川賞を2021年に受賞した作家李琴峰さんが、ツイッター(現X)に「芥川龍之介の作品を知らない芥川賞作家」などと投稿されて名誉を毀損(きそん)されたとして、投稿した元SFライターに330万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、大阪地裁は19日、16万5千円の賠償を命じた。
判決によると、被告は過去にSFライターとして活動。21~22年に「芥川龍之介の『河童』をパクってドヤ顔で自分のオリジナルと主張した芥川賞作家」「本当の無知にしろ、知っててしらばっくれたにしろ、かなり問題がありますね」などと投稿した。
小田真治裁判長は判決理由で「古典的な作品に造詣が深いことは作家の評価を高める要素。投稿は作家としての技量や作品の価値に疑いを抱かせる」と認定。李さんの社会的評価を低下させ、名誉毀損が成立するとした。
・・・。
<引用終わり>
○ この裁判長は、SF作家による「「芥川龍之介の『河童』をパクっている」というネガティブな評価を「古典的な作品に造詣が深いことは作家の評価を高める要素。」と、ポジティブに評価しています。
「東大話法」という言葉が思い浮かびます。
○ また、「芥川龍之介の『河童』をパクってドヤ顔で自分のオリジナルと主張した芥川賞作家」「本当の無知にしろ、知っててしらばっくれたにしろ、かなり問題がありますね」というSF作家の台湾作家に対する評価を
「作家としての技量や作品の価値に疑いを抱かせる」と認定。
李さんの社会的評価を低下させ、名誉毀損が成立する」と、断定しています。
この裁判長は、小説を読むときに「なんの疑いも持たずに、すべてを受け入れろ。」と言うのでしょうか。まさに「令和(お上からの命令に、皆で和して従順に従え)」という年号の意味そのものです。
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しかし、芥川龍之介の「MENSURA ZOILI」からすれば、SF作家の評価も裁判長の評価も、異なる意見としてともに成立する、ということではないのでしょうか。
文学や絵画という分野に於いて、「価値測定器という絶対的な評価」が無意味であるように、「裁判長という価値測定器」によって、芸術の世界をたった一つの評価で決めつけてしまうというのは、私も芥川龍之介と同じく「僕は、不快なのを通り越して、少し莫迦(ばか)莫迦しくなった。」という気持ちです。
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