※ 第8話 罠
「はぁ、はぁ……ん、くぅ……っ」
掃除を再開した麗華はけれど、足腰が震えてまともに動けていない。
時折コツコツと音がするのは、無意識に下腹部に手を伸ばし……だけど貞操帯によって接触を封じられているからだ。
「影、手ぇ止まってるよ」
「も、申し訳ございません、麗華様……あぅっ!?」
「さっさと掃除して。時間の無駄だよ」
「は、はい……くぅっ……!」
腰のラインに沿ってくねるお尻。震える足腰。そして内股になって太ももをこすり合わせる麗華。
玩具の刺激に反応しているのだと一目でわかる有様だ。
※※※※※
掃除を終えて夕食の時間。
今回は間近で観察したいから犬食いはさせずに椅子に座らせてやる。
「……っ」
「どうしたの? 早く食べなよ」
「は、はい……んぁっ」
食べようと口を開けたタイミングで玩具のリズムを変えてやる。
「っ、ん……っ」
それでもなんとか食べ進めていく。
「んくっ……はぁ……あむ……」
しかし、やはり食べ進めるペースが徐々に落ちてきている。
「はぁ……んっ、く……」
そしてついに麗華は食べることを中断した。
「……なに? もう終わり?」
「も、申し訳ございません……もうお腹がいっぱいで……」
「食べろ」
「ですが……」
「吐いてでも食べろ。命令」
「……はい。んんぅっ」
「あ、床にこぼした。舐めな?」
「はい……」
※※※※※
「麗華様、入浴のお世話までして頂かなくても……っ」
「良いから」
私の機嫌を損ねない為か、お世話と称しているけれど……実際は調教の一環だ。
手錠を浴室のタオル掛けに引っ掛けて麗華の両手の自由を奪う。
そして媚薬によって火照り、敏感になった身体にシャワーのお湯をかけてやる。
「はぁんっ」
「何変な声出してんの?」
「も、申し訳ございません……っ」
更にボディーソープを手の平に伸ばして、麗華の身体をフェザータッチで撫でる。
「んんぅっ」
「だから変な声出さないでって」
「も、申し訳ございません……んふぅっ」
脇腹や背中を指先でなぞるように洗うと麗華はビクビクと身体を震わせる。
下の部分は貞操帯があるから触れないけど、胸だって突起の部分には触らない。
焦らすように、その周りをさわさわとくすぐるだけ。
「はぅ……はぁっ、く……」
麗華の表情は既にとろんとしていて、口はだらしなく開いてしまっている。
「どうしたの? ただ洗ってるだけなのに」
「お願いしますっ、もう……っ!」
「……そっか。うん、分かった。もう止めるね」
「!? ち、違……もっと強く……」
「文句あるの?」
「い、いえ……」
「良い子だね。そこで待ってて」
もじもじと内腿をこすり合わせる麗華を尻目に私も自分の身体を洗う。
そして物欲しそうな目線を無視しつつ、ゆっくり湯船に使って今日の疲れを癒した。
※※※※※
「影、コンセント」
「はい」
就寝時間になって昨夜に続き麗華は自身の手で貞操帯にコンセントを差し込む。
今回はしっかり寝具を運び出して準備は出来てる。
「影、両手を後ろに」
「え……は、はい……」
手錠を麗華の背中側に回して、その両腕を拘束した。
「さてと……どう? ちゃんと反省してる?」
「はい……反省しておりますので……!」
「じゃ、朝までそのままね」
「そんなっ……お慈悲をどうか……っ」
「あのね。私はお願いじゃなくて命令してるの」
「あ……っ」
「分かったらとっとと寝な。おやすみ」
「おやすみ、なさいませ……」
どうせ私が寝た頃に胸でも弄って自分を慰めようとしていたんだろう。
その目論みを潰されて麗華は酷く悲しげな表情を浮かべる。
「影」
「……はい」
「特別サービス」
そう言いながら一台のスマホを床に置く。
「これで中の玩具を操作出来るから好きに使うと良い。手錠は外してあげないけどね」
「あ、ありがとう、ございます……っ」
「じゃ、今度こそおやすみ」
寝室のベッドに寝転んで毛布を被る。
さて、どうなるか……
※※※※※
枕元に置いたスマホが不愉快な警告音を発して震え出し安眠を妨げる。
まぁ、それはしょうがない。確実に目覚めるように設定しておいたんだから。
目を擦って寝室の扉を開けると、獣のような悲鳴が聞こえた。
流石花柳院家長子の部屋。防音機能もバッチリだ。
「影」
「麗華様っ、お願、止めてっ、止めてくださいぃぃぃぃぃいぃぃっ!」
手錠を掛けられた麗華は死にかけの芋虫のようにのたうち回っていた。
股間に挿さっている筈のコンセントは抜け落ちている。
「あーあ、コンセント抜いちゃったんだ。
それ、外れると中の玩具が最大出力で動き出す仕様なんだよね。
あれだけコンセントを外しちゃ駄目だって言ったのに」
「だ、だって……スマホ、届かな……っ!」
それはそうだ、コンセントを差したままじゃ届かない位置に置いたんだから。
そして麗華はまんまとそれにハマり、目先の快楽を求めてスマホに近付き……コンセントか抜けてしまった。
「れいかさまっ! ごめんなさい! 快楽を求めて教えを破る浅ましい女でごめんなさいっ!!
反省しましたっ! もう二度としませんからっ、どうか許してくださいぃぃいぃ!!」
「え、やだ」
「おねが……っ、あがぁぁぁぁぁ!!」
「私の言うこと聞かない奴隷の言うことをなんで私が聞かないといけないの?」
「んぉおぉぉおぉぉっ!?」
「止めて欲しいならさ。私の足でも舐めて許しを請えば? 犬みたいにみっともなく、人の尊厳を投げ捨ててさ」
「は、はひ……っ」
麗華は這い蹲って私の足先に舌を這わす。
「んちゅ……れろ、れろっ、んん……」
そしてそのまま足の指を口に含んで舐めしゃぶる。
「あむ……っ、んぐ……んく……っ!」
「あはは、惨めな姿だね。あぁ、それと……」
「?」
「床に置いたスマホね、あれダミーだから。
あれを触った所で中の玩具は制御出来ないよ。
影はそんな物の為に必死に動いて、結果的に快楽地獄に陥った。はは、馬鹿みたいだね」
「っ……!!」
「ん、歯立てた? 今」
「い、いえ……っ! んむ……れろ、ちゅぅぅ……」
「なら良いけど」
「……ちゅっ、ちぅ、ん……はぁ……」
それから麗華は一心不乱に私の足を舐める。
時折媚びるように私を見上げるのは計算なのだろうか。
「あむ……っ、んぐ……っ」
「ん、そろそろ良いよ。玩具止めてあげる」
「ありがとう、ございます……っ」
玩具を止めると一気に脱力して、麗華はその場に倒れ伏す。
汗でびしょ濡れの身体。額に張り付いた髪。
火照った身体に荒い息。
憎んでいる相手なのに、もっと言えば同じ顔なのに……その色っぽい姿に思わず生唾を飲み込んだ。
いけない。
慌てて首を振ってその思考を追い出す。
情を抱いてはいけない。油断してはいけない。相手はあの花柳院 麗華なのだから。
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