第13話コラボ成功を祝して!また新たな展開へ!

今回のコラボ成功を祝して…

僕らは食事会を開いていた。

外食を提案した僕だったが熊野エリの提案により彼女の家で食事会は開催されたのだ。

僕と熊野エリは隣人同士だし硝子も拒絶すること無く受け入れてくれた。

僕らは各々で買い出しを行って熊野エリの家へと訪れていた。


「とりあえず差し入れと言うか…乾杯すると思ったから」


あまり気の利かない言葉を口にしてお酒のボトルを差し出すと熊野エリは嬉しそうに受け取ってくれる。


「ありがとうございます。丁度切らしていたところなので嬉しいです」


熊野エリの感謝を受け取りながら僕は苦笑気味に微笑んでいた。


「出来合いのものだけど色々と買ってきたよ。

適当につまめる程度のものだけど…」


硝子は高級そうなお惣菜を幾つも買ってきており受け取った熊野エリは先程と同様に嬉しそうな表情を浮かべている。


「ありがとうございます。私もBBQの用意しか出来ていなくて…

本当に助かります」


熊野エリは自宅で焼き肉を行うらしくテーブルの上にはプレートが既に用意されていた。

熊野エリはグラスを三つ用意して…

僕らは乾杯を行うとそのままコラボ成功の打ち上げを行うのであった。




僕らが熊野エリ宅にて打ち上げを行っている最中のことだった。

富士ケイルと馬生カンナは事務所にてマネージャーと運営スタッフ数名と打ち合わせを行っていた。


「箱内全員参加で企画を行いたいんですが…」


富士ケイルが少しだけ伺うような形で口を開いていた。

馬生カンナは口を閉じて周りの反応を伺っているようだった。


「箱内全員でですか…」


運営スタッフは少しだけ困ったような表情を浮かべておりマネージャー陣はタレントの顔色を伺っていたことだろう。


「難しいですか?」


馬生カンナは強気な姿勢で話に割って入ったし富士ケイルはそんな彼女を心配そうに眺めていた。


「えっと…企画内容によります。とだけしか言えないですが…」


「どんな企画なら通りそうです?」


「はい…配信ではなく動画でなら全員強制参加と出来るかもしれません…

ですが…ライブ配信となると…参加しないメンバーも居るかと…」


「それはどうしてです?

運営側が箱内全員参加と銘打てば嫌でも参加せざるを得ないと思いますけど?」


「どうでしょう…

人間同士ですから馬が合わない組み合わせとかってあるじゃないですか…

当人同士はプロですから表には出さないで企画に参加してくれると思います。

ただし…ファンやアンチリスナーは快く思わない可能性もありまして…

そこから火のないところに煙が立つ可能性もございます。

そうなりますと最終的にお菓子工場に損失が出る可能性がありまして…」


「それって可能性の話ですよね?確実な話ではなく」


「そうです。私達はあらゆる可能性を模索するのも仕事なので…」


「そんなこと言っていたら箱内企画が出来ませんよ?

別の箱では沢山の箱内企画が行われていて物凄い数の再生数を稼いでいるんですよ?

普通に考えてうちもやらない手は無いですよね?」


「ですが…一応尋ねますがどの様な企画を考えているのでしょうか…」


馬生カンナは運営スタッフと強気な交渉を行っており一歩も引かない姿勢を見せていた。

問いかけられた馬生カンナではなく富士ケイルがまとめてきた資料を運営スタッフたちに手渡していた。

そこに記されていた内容を目にした運営スタッフは少しだけ苦い表情を浮かべている。


「このゲームをお菓子工場で…って富士さん…正気ですか?」


運営スタッフも苦い表情を浮かべざるを得ないゲームだったのだろうか。

しかしながら富士ケイルも馬生カンナも確実に成功する未来が見えているのか…

そこから二人は数時間に渡りプレゼンを行い続けるのであった。




打ち上げが行われた数日後。

僕は作業部屋にて配信を行っていた。


「この間のコラボの打ち上げですか?

そうですね…身バレ防止のために隣人の加賀さんの家で行われましたね。


え?部屋の匂い?

普通に焼肉臭でしたね…

皆様がどういう想像をしていたのかわかりませんが…

他人の家の匂いでしたよ。


はい?洗濯物が干しっぱなしだったか?

打ち上げ会場として提供してくれると打診してくれたのは加賀さんですよ?

来客の予定があるのに洗濯物を干しっぱなしにしている人って居ますかね…

浴室とか自室で室内乾燥をしていた可能性はありますが…

僕らはリビングにしかいませんでしたから…わかりませんね…


トイレ…?何を言っているんですか…

普通ですよ…何処にでもあるトイレです…

あまり変なコメントしないでください…


焼肉の味?自宅で食べる焼肉の味です。

過度な期待はしないほうが…

あ…ただ久しぶりに他人と食べた食事は美味しかったですね。


お酒ですか?二人の配信で聞いたんですかね…

一応打ち上げに適している物を購入しました。

ボトルで一本だけですよ。

お二人共仕事があるわけですからあまり飲みすぎないようにしたわけです。


じゃあ何でお酒を差し入れしたのか…ですか…

大人同士の打ち上げですからね。

少ない量でもアルコールがあったほうが良いかと愚行したわけです。

残したとしても加賀さんが飲酒配信をした時に飲めばいいかと思ったと言いますか…

そんなわけで普段飲むようなものではなく値が張った物を買ったんです。


進捗如何ですか?ご覧のとおりです。

担当編集を装ったコメントやめてください。

普段通り監視されていると思いますが…

ちゃんと仕事もしていますよ。


お菓子工場の告知見た?

はい。見ましたよ。

やたらと大々的に告知されていたあれですね。

まだ内容は公開されていないみたいでしたね。


お菓子工場のメンバーに何か聞いていない?

聞いていないですね。

本告知前に箱内の人間でもない僕に知らされることなんて無いですよ。

今回のことだけではなく…全般的に言えますが…

僕が関わっていない企画の内容を事前に聞かされるなんてことはないです。

即ち拡大解釈をすれば今回は何も関わっていないと言っているようなものですね…


カンナちゃんとはコラボしないの?

毎回こういうコメントがありますが…

僕からカンナさんにコラボを打診することはないです。

一応適切な距離を保たないと…と思っておりまして…

カンナさんも僕からコラボを打診されたら嫌でも受けると思うんですよ。

皆様もカンナさんの配信をご覧になっていればご存知だと思いますが…

カンナさんは会社側に直談判して僕にイラストを依頼してきたわけで…

自分の口で言うのは恥ずかしいんですが…元々ファンだったみたいですね。

ですから僕から連絡すると断りづらいと思うんですよ。

だから適切な距離を保っているわけです。

ご理解いただけましたか?


カンナちゃんはコラボしたいって言ってましたよ?

まぁそう言うでしょう…

リップサービスの可能性もありますから…

何でも人の言う事を真に受けるのは止したほうが良いですよ。


ちょっと集中しますのでコメントから目を離しますね…」


そこから僕は力を入れたい箇所を集中して描いていくのであった。




後日。

お菓子工場のSNSでは告知内容が発表されていた。



「お菓子工場箱内全員参加企画第一弾!

格ゲー祭り!


お菓子工場のメンバー全員で格ゲー大会開催!

全三弾でお送りする箱内全員参加企画の第一弾は超有名格ゲー!


今回は個人戦トーナメント勝ち抜き戦で行われます!

ルールの詳細は…



初めての箱内全員参加企画!

どうぞ楽しみに御覧ください!


主催は富士ケイル、馬生カンナ。


本番の日程は…


練習配信は各自で行われます。

お気に入りのメンバーの配信を御覧ください。

各自のチャンネルでアーカイブも残りますので時間がある方は御覧ください!



スクリムの日程は…



お菓子工場の新たな試みを是非お楽しみください!」




お菓子工場公式のSNSを見た僕は心を踊らせていた。

初めて見る彼女らの箱内企画を楽しみにしていたのもそうだし…

ゲーム全般が得意で上手な硝子の活躍を期待していたのだろう。


箱内企画が始まるまで…

僕は作業配信に努めて依頼された仕事を満足いくまで十二分に描いていたのであった。



次回…

彼女らの練習配信などなど…

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