第5話久しぶりの再会

夕方過ぎに家を出た僕だった。

本日の作業をスケジュール通りに進行させると一区切りさせた。

身支度を完全に整えた僕は普段以上におしゃれをしていたことだろう。

これだけ言えば…

この後、僕を待っている予定にも気付くと思うのだが…


初コラボ配信を終えた後…

軽はずみではなかったが勇気を持って提案をしていたのだ。


「もし良かったら…食事にでも行かない?」


僕の誘いを硝子は嬉しそうに了承してくれたのだ。

そうして今現在…

僕らは懐かしの場所で待ち合わせをしていたのであった。



僕らが付き合っていた頃…

デートの待ち合わせ場所は大体駅近くのショッピングモールに併設されているカフェでだった。

本日も僕らはそこで待ち合わせをしており…

僕は昔以上にワクワクとドキドキ感を胸に感じながら硝子を待っていたのであった。



待ち合わせ時間五分前に懐かしの人物が僕の前に訪れて…

けれど彼女は明らかに以前よりもきれいになっており…

僕はかなりの動揺を覚えていたことだろう。


「おまたせ…一輝…かっこよくなった?」


意外な一言が飛んできて僕は目を白黒させていたことだろう。


「どうだろう。硝子こそ昔以上にきれいになったね…」


お互いがお世辞ではない本心を口にして…

何処か照れくさそうな表情を浮かべていたことだろう。


「早速行こうか…」


僕は現在の空気をかき消すようにして口を開く。

硝子もそれに頷くと僕らはカフェを出ていく。

そのまま駅近くに存在している焼肉屋に向かうのであった。



焼き肉奉行ってわけではないのだが…

僕はトングを持つと一人で肉を焼く係を努めていた。

硝子の好みに合わせて焼き方を調整したり。

とにかく彼女に美味しく食事を楽しんでもらいたかったのだ。

それだけでなく…

出来るだけ会話を盛り上げるように努めていたし彼女が退屈しないように心掛けていたのだ。


「ふふっ。なんだか昔と変わらないね♡」


硝子はアルコールが入っているからなのか…

頬を赤く染めて艶めかしい表情を浮かべていた。


「なにが?」


一応問いかけると彼女は嬉しそうに微笑む。


「付き合っていた頃も一輝は優しかったし…

なんでも気が利く男性だったでしょ?

それに一緒に居て楽しいし心地良いし。

見た目は少し変わったけど…

良いところはずっとそのまま…

なんだか嬉しくなっちゃって…♡」


僕は硝子の言葉を真正面から受け取り照れくさそうな表情を浮かべて頷いていた。


「僕も硝子といると…心地いいし楽しいよ」


「そう?同じ気持ちなんだ…嬉しいな…♡」


硝子の艶めかしい表情や大胆な発言が影響して…

僕は急に緊張感の様なものを感じてしまい…

アルコールを流し込んで誤魔化すことに努めていた。



そうして僕らは久しぶりに食事デート?の様な時間を過ごすのであった。



会計を済ませて店の外に出ると…

僕は明らかに酔ってしまっていた。

彼女はどうだっただろうか…

緊張のためかなり飲んでいた僕を彼女は介抱するように支えてくれていた。

そのままの流れで僕らはタクシーに乗り込んで…


そこからの記憶が薄く…

目が覚めた時…

真っ先に僕の心に衝撃が走ったのであった。

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