第3話ワイの職業が明らかに…!?

僕の職業をここで公にしておこうと思う。

本屋で見かけるような職業で…

考えうる限りで幾つかの職業が想像できるだろう。

別段言うのを勿体ぶっているわけではないのだが…


僕の職業はイラストレーターだった。

ライトノベルなどの挿絵やゲームキャラもしくはVTuberなどのイラストを担当している。


不作之831が所属しているお菓子工場でも仕事をさせてもらっているのだが…

もしかしたら硝子もその事実に気付いていたのかもしれない。


僕の現在を何処かで知っていた可能性もあった。

しかしながら守秘義務などがあり自ら連絡することが出来なかったのかもしれない。

僕にも守秘義務のようなものが存在しており。

関係者以外の外部に情報を漏らすことは禁止されている。


ただし硝子がVTuberになったことを知っていたし。

かなりの確率や確信を持って不作之831についてのチャットを硝子に送ったわけだ。


僕らは確かなことを言えるわけではなかったが…

確実にお互いの存在に気付いていた。

と言うよりも硝子は僕が仕事で関わっていることや僕の仕事について良く知っている可能性もある。


本屋で平積みされている本の表紙には僕が担当したイラストがデカデカと印刷されていたことだろう。


僕の現在の活躍を知って…

もしかしたら硝子は何処か喜んでいたことだろう。


そんな想像を軽くして。

僕は作業をするためにパソコンを起動させたのであった。






作業部屋にて僕は配信を行っていた。

俗に言う作業配信というものだった。

一人で作業をしているとダークゾーンに陥ってしまいそうな瞬間が幾らでも存在する。

それを緩和させてくれる存在がファンやリスナーだった。


作業をしながら手を動かしたり下書きやパーツや構図が上手に描けた時…

ファンやリスナーは手放しで褒めてくれる。

そのコメントのお陰で僕は今まで腐らずに仕事を続けていられるのだろう。


作業配信というと実写で手元などが映し出されているように思うだろう。

しかしながら僕は自らのアバターを制作してVの姿でイラストを描いていた。


本業ではないがVTuberとしての活動も軌道に乗りつつあり…

このままいくとお菓子工場を始めとして様々なVTuberとコラボをする機会もやって来るかもしれない。


そんなもしものことを軽く想像しながら…

僕は饒舌に話しをしながら作業配信を順調に進めていくのであった。






数時間に及ぶ作業配信を終えた僕は担当編集に出来上がったイラストを送る。


「お疲れ様です。配信観ていましたよ。

一輝先生は作業配信を定期的に行ってくれて進捗も逐一確認できて助かっています。

サボることもなく仕事に一生懸命で嬉しい限りです。

いつも助かっております。

先程の配信で殆ど確認済みですが…

再確認しておきますね」


担当編集からの返信に僕は苦笑のような表情だったことだろう。


「いえいえ。ゲーム配信などで息抜きしていますから。

それも観られているんでしょう?

そうなると…流石にサボれませんよ…

多くの人が配信するようになって僕らクリエーターは簡単に進捗を察せられて…

サボっていればバレますし…

催促の連絡も簡単にされるようになったって同業者が嘆いていましたよ…」


同業者の代わりに彼らの気持ちの代弁者として担当編集へと愚痴を溢してみる。


「知ったこっちゃないですよ。

締め切りまでに仕事をしないのがいけないんです。

休んだり遊びたいのであれば自らで決めたスケジュールにしっかりと従えば良いんです。

学生の頃…夏休みの宿題が出されましたよね?

その時もスケジュールを決めて過ごしてきましたよね?

学生時代に出来たことが社会人になって出来ないなんて…

そんなこと無いですよね?

まぁ…しっかりとやっている一輝さんに言っても意味ないんですが…」


どうやら担当編集は明らかに鬱憤が溜まっているようで…

その愚痴が僕に向かってくるとは思いもしなかった。

藪を木の棒で突いたらハブが出てきたような…

そんな恐ろしい錯覚のような想像が脳裏に浮かんでいた。


「学生時代からやってこなかったのでは…?」


僕も僕で怖いもの見たさでその様な発言をチャットで送ってみる。


「そんなこと分かっていますよ…!」


相手は明らかに呆れ果てて怒っているように思えた。

それなので僕は適当なスタンプを押してやり取りを終了させるのであった。




スマホを持って作業部屋を出るとリビングに向かう。

確実に疲れている肉体や精神を癒やすためにヒーリング音楽を流していた。

瞑想するように目を瞑り脱力する姿勢を取っていた。


すると…

再びスマホに通知が届いて少しだけドキリとする。

担当編集がまだ言いたいことがあったようで…

続くチャットを送ってきたのだろう。

仕方なくスマホを手にして通知を開くと…。


「作業配信観ていたよ。同接数と再生数かなりあって…凄い人気だね」


連絡を寄越してきたのは担当編集ではなく。

意外にも硝子なのである。

彼女はどうやら僕の配信を観ていたようで…


「こっちの活動も知っていたんだね…。とにかくありがとう。

お陰様でぼちぼち活躍できている」


「実は一輝の活動のこと色々と知っていたんだけど…

私の置かれている状況を想像したら色々と分かると思うけど…

私からは突っ込んだ内容を連絡できなくて…ごめん。

でも…先日の連絡のお陰で話せるようになったから…

それで…唐突なんだけど…いつか私と…」


硝子は今までの隠されていた真実と意味深なチャットを送ってきて…

ノータイムで再び返事を寄越す。


「うんん。何でも無い。お互いに頑張ろうね」


硝子は消極的な返事を送ってきて…

僕は担当編集にズケズケと言っていた名残が残っていたのか…


「今度コラボしない?」


等という本心を隠すこともないチャットを送ってしまうのであった。



硝子はそのチャットにどの様な返事を送ってきたのだろうか。




続きは次回の話で明らかに…!?

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