第4話 獣人に嫉妬するダウナー彼女

(ポツポツと降る雨音∶開始)


「スンスン、スンスン」


(甘えた感じで)

「ふふっ、あなたの匂いに包まれてるの幸せ」


(それからしばらくの間、あなたの匂いを吸い続けるダウナー彼女)


「ん、どうしたの?」


「いつまで膝の上に居るのって?」


「あっ、ごめんなさい……」


(あなたの膝から立ち上がるダウナー彼女)


「隣、座るね」


(ソファーが弾む音)


(恥ずかしそうに)

「そ、それでこれからどうする?」


「ちょっと早いけど、寝室に行く?」


「それとも……」


(ダウナー彼女があなたの右耳の近くまで近づいてくる)


(からかう様に)

「寝るにはちょっと早いし……、私と楽しい事する?」


(クスッと笑いながらダウナー彼女が耳元から離れる)


「何で耳元でって?」


「まぁ何となく?」


(楽しそうに笑いながら)

「それで、私と楽しい事するの?」


「楽しい事ってゲームでしょって?」


「ふふっ、そうだよ」


「やっぱり上手いプレイを見たら無性にやりたくなるよね」


(あなたの右耳に近づくダウナー彼女)


(煽る感じで囁く)

「それで、するの? しないの?」


(『する』と答えるあなた)


「うん。やろっか」


(ダウナー彼女がソファーから立ち上がり、家の中を歩いていく)


(それから暫くの間雨音だけが流れる)


(ポツポツと降る雨音∶停止)


(キーボードの打撃音とマウスのクリック音∶開始)


「あっ、そっちに敵行ったよ」


「その敵割った……」


「あっ、そこに居るの最後の敵……」


「ナーイス」


(キーボードの打撃音とマウスのクリック音∶停止)


「結構やってたんだね。もう深夜じゃん」


「そろそろ終わろうか」


(恥ずかしそうに)

「イチャイチャする時間も欲しいし、ね……」


(椅子から立ち上がるダウナー彼女)


「じゃあ私、喉乾いたから一旦リビングでお茶飲んでくる」


「あなたも休憩するの?」


「じゃあ一緒に行こっか」


(あなたとダウナー彼女が座り、ソファーが弾む音)


(ダウナー彼女が飲み物を飲む音)


「ふぅ~、冷えてておいしかった」


「ん? どうしたの?」


「あっ、確かに。いつの間にか雨止んでるね」


(コップを机に置く音)


「ねぇ話変わるんだけど……」


「あなたの使うスキンって、どのゲームでも大体獣人の子だよね」


「好きなアニメキャラとかVtuberも獣人だし……」


「もしかして、あなたっていわゆるケモナーなの?」


(恥ずかしそうに『そうだよ』と答えるあなた)


「ふぅ~ん……」


「ちょっと膝貸して」


(あなたの膝に頭を乗せるダウナー彼女)


(少し高い声で)

「ニャ〜」


(恥ずかしそうに)

「どうしたのって。別に……」


(少し高い声で)

「ニャ〜ン」


(それから暫くの間、雨音だけが聞こえる無言の時間が流れる)


「……ほら、膝にかわいいかわいい猫ちゃんが居るんだよ」


「早く頭撫でてよ」


(暫くの間ダウナー彼女の頭を撫でるあなた)


「よいしょ」


(ダウナー彼女があなたの膝から起き上がる)


「それで……、さっきのどうだった?」


(『かわいかった』と答えるあなた)


(恥ずかしそうに)

「可愛かった……、ね」


「そう、なら良かった」


(楽しそうに)

「じゃあ次はあなたの番。ワンって言ってみて」


「何でって顔してるね」


「でも当然でしょ?」 


「何で、私だけが恥ずかしい思いをしないといけないの?」


「ぐっ、自分から勝手にやったって……」


「痛いとこ突くね」


「でも、私の猫ちゃんの真似をあなたが可愛いって思ったのに関しては、言質を取ってるから……」


「そのお返しをしてくれても良いんじゃない?」


「だから、ほら早く」


(『いや』と言うあなた)


(楽しそうに)

「いや、じゃないの」


「今のあなたは、『ワン』以外喋ったらだめなんだから」


(恥ずかしながらもワンと言うあなた)


(愛おしそうに)

「ふふっ、かぁわいい」


(頭を撫でる音)


(緊張がほぐれた感じの溜息)

「はぁー」


「何か流れでやっちゃったけど、今の私達めちゃくちゃ変態みたいだったね」


(楽しそうに笑うダウナー彼女)


「なっ、私の方が変態だってぇ?」


「た、確かに私から始めたことだけど……」


「ほら、私は空気に流されただけって言うか……」


「だから、別に私に元々そう言う趣味があった訳じゃないから」


(小さな声で呟く)

「それに、あんな恥ずかしい事、あなたにしかやらないし……」


「何でもない」


「えっと、今何時だろ」


「あっ、もうこんな時間だ」


「じゃあそろそろ寝室行こ」


(ソファーから立ち上がるダウナー彼女)


「私は歯を磨いてくるけど、あなたってもう磨いたの?」


「そう、私がお風呂に入ってる間に済ませたんだ」


「じゃあ先に寝室で待ってて」


「寝る準備が終わったら私もすぐに行く」


「あっ」


(ダウナー彼女があなたに歩み寄ってくる)


「昨日。2人共疲れてて出来なかった分、今日はいっぱいイチャイチャするんだから……」


(甘える感じで)

「明日仕事だからって、先に寝てたら許さないからね」


(ダウナー彼女があなたから少し離れる)


「じゃ、寝室で待っててね」


(ダウナー彼女の足音が段々と遠くなっていく)

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