第3話 ダウナー彼女との嗅ぎ合いっこ
(ポツポツと降る雨音∶開始)
(キッチンで包丁やフライパンで料理をしている音)
「あ、お風呂気持ちよかった?」
「ふふっ、確かにこの時期のお風呂はちょっと汗かいちゃうね」
「夜ご飯?」
「夜ご飯はもう少し時間かかるから、ソファーでゆっくりしてて良いよ」
(あなたが座った為、ソファーが弾む音)
(それから暫くの間、雨音と料理をしている音が流れる)
(手を合わせる音)
「いただきます」
(食器とお箸が当たる音)
(暫くの間、食器とお箸が当たる音と雨音が続く)
(手を合わせる音)
「ごちそうさまでした」
(お皿を運ぶために椅子を後ろに引きずる音)
(それから暫くして、お皿を洗い終わり水を止める音)
「よし、これで終わり」
「それじゃあお風呂入ってくるね」
(段々と遠くなっていく足音)
(暫くの間、ポツポツと降る雨音だけが流れる)
(近づいてくる足音)
「ただいま」
(ソファーが弾む音)
「あっ。このプロゲーマーの人、今日も動画投稿してたんだ」
(同じ動画を見る為に、更に近づくダウナー彼女)
(暫くしてスマホを閉じるあなた)
「え? 何で動画消すの?」
「って、ちょっと……」
(ダウナー彼女の髪に鼻を近づけて髪の匂いを嗅ぐあなた)
「もう、今日も髪の匂い嗅ぐの?」
「確かにお風呂上がりが一番匂いがするのは分かるよ。でも嗅いでも良いって意味で近づいたんじゃないんだけど……」
「彼女の匂いを嗅ぐのは彼氏の特権だからって?」
(少し嬉しそうに)
「ハァー。匂いフェチの彼氏と同棲すると大変だね」
「え? 嫌なのって? 別に嫌じゃないけど……」
「ツンデレでかわいいって……」
「分かった。じゃあ私の匂いを嗅いでも良いけど、その代わり私にもあなたの髪の匂いも嗅がせてよね」
(『良いよ』と応えるあなた)
「ふぅ~ん、良いんだ」
(それから暫くの間、あなたはダウナ彼女の髪の匂いを嗅ぎ続け、ポツポツと雨音だけが流れる)
(恥ずかしそうに)
「も、もう良いんじゃない?」
「ほら、そろそろ私の番」
(ダウナー彼女があなたの頭に顔を近づける)
(ダウナー彼女の息があなたの右耳にかかる)
「スンスン、スンスン」
(あなたの頭の右側を何度も吸うダウナー彼女)
(ダウナー彼女があなたの頭から少し離れる)
「うん。私の好きな匂いがする」
「ま、シャンプーとかは、私が選んでるから当たり前だけどね」
(ソファーから立ち上がり、あなたの左側に移動するダウナー彼女)
(ソファーが弾む音)
(少し興奮気味に)
「それじゃあ今度はこっち側を吸うね」
「スゥーハァ〜、スゥーハァ〜」
(先程よりも深く息を吸うダウナー彼女)
「ん? 何かノッて来てないって?」
(恥ずかしそうに)
「ま、まぁいい匂いなのは確かだけど、別にそれ以外には何とも思ってない」
(それ以降も、勢い良くあなたの頭を吸い続けるダウナー彼女)
「ハァー。最高だった……」
「あっ、今のはその……」
「今さら隠さなくても良いって、そう言う問題じゃない」
(それから暫くの間、無言の時間が流れた)
「ん〜。なら、もっと吸うから」
(あなたの首元に近づき、匂いを嗅ぐダウナー彼女)
「スンスン、スンスン。どう? こしょばいでしょ」
「何かくすぐったくて良い?」
「そう、じゃあもっと吸う」
(先程までよりも強く匂いを嗅ぐダウナー彼女)
「何か、首元って匂い強いかも」
「それに、お風呂から出て結構経ってるのに、ちょっと汗かいてない?」
(首元を嗅ぐダウナー彼女)
「こんなに近寄られたら汗もかく?」
「確かに……」
(クスッと笑った後、あなたの汗をペロッと舐めるダウナー彼女)
「ふふっ、しょっぱい」
(あなたの首元から一旦顔を離すダウナー彼女)
「あっ」
「顔真っ赤だね。汗舐められて恥ずかしくなったの?」
(クスッと笑いながら、再び匂いを嗅ぎ始めるダウナー彼女)
「スンスン、スンスン」
(その後もあなたの首の匂いを嗅ぐダウナー彼女)
「胸元はどんな感じなのかな?」
(あなたの膝元に移動するダウナー彼女)
「それじゃあ嗅ぐね」
(あなたの胸元に鼻を近づけるダウナー彼女)
(その後、暫くの間あなたの胸元の匂いを嗅ぐダウナー彼女)
「ここも結構汗かいてる」
「あっ、もしかして」
(あなたの心臓に耳を近づけるダウナー彼女)
「やっぱり、心臓の音早くなってる」
「え? 私の心音も聞きたいって?」
「えぇ~、今日抱きしめた時に聞こえてたでしょ」
(『ううん』と言うあなた)
「本当に? ハァ〜しょうがない。聞かせてあげる」
「私だけっていうのは不公平だもんね」
(あなたの膝元で体制を立て直すダウナー彼女)
(ダウナー彼女の胸元に耳を付けるあなた)
(少し早い心音が聞こえる)
「いま、あなたの匂いを嗅いでドキドキしてるし、結構緊張もしてるから早いかも」
(それから暫くの間、心音を聞き続けるあなた)
「ね、もう良いでしょ?」
(ダウナー彼女の胸元から離れるあなた)
「それで、少しはリラックスとかできた?」
(『癒やされた』と答えるあなた)
「癒やされたなら良かった」
「私も、あなたの匂いを嗅いでると安心するの」
「だから……」
(あなたの左側の耳元に近付くダウナー彼女)
「これからも、あなたの匂いで私を包み続けてね」
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