第118話
それから俺たちはご飯にした。それもつつがなく終わって里恵のお見送り。
「…今日はありがとうございました。突然の訪問にも関わらず良くしていただいて」
「硬くならなくていいよ。守の彼女さんなんだから」
「そうよ、そんな遠慮しないでいいのよ?もう里恵さんは私の娘みたいなものなんだから。何かあれば気軽に相談してね?」
「はい!ありがとうございます!また守君のこと、たくさん教えてください!」
…いつの間にか里恵と母さんもRAINの交換してるし。あんまり変なこと吹き込まないでほしいけど、仲良くなるのはいいことだしな。
「分かったわ。それじゃあ、今日は来てくれてありがとうね。これ、お土産だから持っていって」
「えっ!?いえ、そんないただけませんよ。もう十分良くしてもらっちゃいましたし…」
「いいのいいの。こっちもいただいちゃったんだし、お返しはちゃんとさせて?お母さんにもよろしくって伝えておいてくれないかしら?」
それでもまだ迷ってる様子の里恵に俺は諭すように言った。
「…受け取って?俺の両親が貰うだけ貰ってお返しもしないような人だってお母さんに思われたくないから。ね?」
「…うん、分かった。そ、それじゃあ、ありがたくいただきます」
「ええ、いただいてちょうだい。…それにしても、こんなにあっさり納得させちゃうなんて、やるわね?」
母さんが揶揄うように言ってくるけど、これはお母さんの言葉を少し変えただけなんだけど…。
「…じゃあ、もうそろそろ外も寒くなってくるだろうし、私たちは戻ろうか」
「それもそうね。またいつでも遊びにきてくれていいからね。…守も、ちゃんと里恵さんを無事に送り届けるのよ?」
「分かってるよ。…さっ、行くか」
「うん!香織さんも武史さんもありがとうございました。これからもよろしくお願いします!」
そう挨拶を終えた俺たちは早速里恵の家に向かって歩き出した。
「…楽しかったな。みんないい人たちだったね」
「里恵がそう思ってくれたなら良かったよ。母さんたちも楽しそうだったし、また遊びにでもきてよ。今度は一日中でもさ?」
「うん!私も守君のお家でお泊まりしたい!!」
「うん、いつでも歓迎するよ。…あっ、もちろん次の日が休みならね?明日とかは学校もあるしダメだよ?」
「ぶ〜、けち〜」
「けちでけっこう。…まぁ、いつでも歓迎するのは本当だからね?お泊まりとかは置いておくとして、母さんも父さんももちろん俺も里恵が大好きだからさ?」
「…不意打ちはずるいよ」
「…ふふっ、そっか」
「でも、嬉しい。私も守君、大好きだよ」
「…うん、ありがと。そう言ってもらえて嬉しいよ」
そんな風に里恵と話しながらゆっくりと歩いていった。
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