第112話
「…ところで、なんだけどさ?ここってどこ?」
俺が持ってきた水を飲んで落ち着いたのか里恵はそんなことを聞いてきた。…えっ?今さら?
「ここは俺の家だけど…覚えてない?」
「えっ!?…やっぱり、そうなんだよね?守君に包まれてるような感じで安心するんだけど、確か私、公園にいたはずなのに」
「ああ、疲れて寝てるみたいだったから俺が運んできたよ。…っと、そうだはいこれ」
俺は志多さんから預かっていた箱を手渡した。里恵がどうするか分からないけど、使っても使わなくても俺は里恵の味方でいるから。
「…えっと、これは?」
「志多さんから里恵にって。ボタンを押せば元カレに復讐できるってよ」
「…ふく、しゅう?」
「うん。もし許せないとかだったら押して、だって」
「…分かった。…って、そういえばいつ朋花と会ったの!?」
「?当然里恵が寝てるときだけど?」
正確には寝てる里恵をお姫様抱っこで運んでるとき、だけどね?
「〜〜〜ッ!やっぱり恥ずかしいとこ見られたの!?明日からどうやって顔を合わせればいいの!?」
「…あ〜、まぁ、気にすることないんじゃないかな?」
「気にするよ!…って、まだ守君と付き合った報告できてないんだった!!」
里恵は慌てた様子でスマホを取り出した。そしてRAINを志多さんに送ってるのかな?ときどき顔を赤くして俺の方を見てくる。
「…じゃあ、もうそろそろ下に降りる?母さんも待ってると思うし」
「わきゃ!?そ、そうだった!!私、初っ端から色々失敗してた!?」
気恥ずかしくなった俺がそう提案すると里恵はそんな風に慌て出した。…これ、忘れてたのかな?そのために今日は家に来たはずなのに。…まぁ、そういうちょっと抜けてるところも里恵の魅力ではあるんだけどね?
「…ど、どうしよう!?何て挨拶したらいいの!?」
「お、落ち着いて。いつも通りで大丈夫だから。俺が好きになった里恵なんだもん。母さんだってそのままの里恵で認めてくれるよ」
それに、母さんはもう俺が彼女と付き合うことを認めてくれてるからね?うちはちょっと放任主義というか、俺を信じて自由にさせてくれてるところがあるしね。バイトもやりたいって言ったらすぐに許可してくれたし。
「でも、でも〜!」
「それに、何かあっても俺が里恵と別れたりなんて絶対にしないよ。…それでも、まだ不安?」
「…ううん、大丈夫。そうだよね!守君が付いててくれるなら何だってできそうだよ!」
そう言って里恵は勢いよく立ち上がった。…うん、元気付けられたみたいでよかったよ。やっぱり里恵に暗い表情は似合わないからね?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます