第108話
「…ねぇ、莉里須ちゃんも守君を?」
「そうだね〜、嫌いじゃないよ?でも、やっぱり好きって感じじゃないんだよね。里恵の彼氏って感じだしさ?」
郷田さんのお母さんが帰った後、里恵と郷田さんがそんな話をしていた。…俺も正直、里恵以外の女の子を好きになることなんて想像もできないんだけどね?
「そういえば、2人はこんなところで何してるの?」
「…お話ししてるだけだよ。守君がどんなことが好きなのか、とか色々聞いてるんだ」
「そっか。なら、お邪魔にならないうちに私は帰ろうかな?また明日ね、里恵。それに守君も」
「ああ、またな」
郷田さんにそう言われて俺はすぐに返事したけど、里恵は何か考え込んでるみたいだった。
「…里恵?どうかしたの?」
「…守君?莉里須ちゃん、今までそんな風に呼んでたっけ?…やっぱり、守君のことを?」
「…えっ、ちょ、違うから!っていうか、怖っ!?彼氏なんでしょ、どうにかしてよ!?」
郷田さんはそう言って俺を頼ってきた。だけど、何となく里恵も楽しんでるっていうか、本気じゃないような感じがするんだよな。ただじゃれてるだけっていうか…。それなのに俺がでしゃばるのは違うよな?
「…ん〜?ちょっと無理かな〜?」
「んな!?ど、どういうことよ!」
「俺から里恵を奪うんだろ?なら、口出しはしないようにするよ」
「ちょ、そんなの無理に決まってるでしょ!里恵は守君が大好きなんだから!!」
俺たちがそんな風に騒いでいると、ふと視線を感じた。そっちの方を向くと、そこには子供たちが。彼らは俺たちの方に指を向けていた。
「しゅばら?」
「違うわよ。修羅場よ修羅場。私、ドラマで見たことあるの。悪いのは全部浮気してる男の方なんだから」
…なんか俺の評価が下がってる!?浮気男になってるんだけど!?これは早めに辞めてもらわなきゃ!
「…っと、里恵もあんまり郷田さんを揶揄わないようにね?反応がいいのは確かに面白いけど」
「…えぇ〜。莉里須ちゃんの可愛い反応が見れたのに」
「…ふぇ?揶揄ってた、の?」
「うん、だって莉里須ちゃんが悪いわけじゃないし」
里恵がそう言うと郷田さんは一瞬だけキョトンとした表情になった後、すぐに意味が分かったのか真っ赤になった。
「…り〜え〜!?」
「莉里須ちゃんが怒った!守君、助けて!」
「この!待ちなさい!!」
そうして里恵と郷田さんは俺の周りを駆け回っていた。…俺はどうすればいいんだ?…まぁ、2人が楽しそうだしいっか。
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