第100話
「おや?僕が一番最後だったのかい?」
「あっ、おはようございます、お父さん」
「おはよう、守君」
そんな風に里恵と話してたらお父さんもリビングにやってきた。
「…これは、お母さんが作ったのかい?…朝からだとちょっと胃もたれしそうだな」
そして並んでいる朝食を見てそんなことを呟いた。…確かに、そういうことも考えた方がよかったな。マヨネーズをけっこう使っちゃったし。…もしかして、里恵も色々気にしたりしたのかな?
…食べてくれる人への考慮がまだまだ足りてないな。俺だけなら別にいいけど、カロリーとかそういうことも気にするべきだった。
「ちょっとお父さん!そんな言い方ないんじゃない!」
「へっ?あ、ああ、いや。…悪かった」
「ごめんね、守君。せっかく作ってくれたのにうちのお父さんが…」
「気にしてないから大丈夫だよ?それに、そういうことに気が回らなかった俺の責任でもあるからね」
次はちゃんとみんなに喜んでもらえるようにすればいいだけだしね。まだまだ俺は相手のことを思いやれてないって分かっただけでも嬉しいことだし。
「守君は悪くないよ!だって嬉しかったもん!私のために作ってくれたんだって、優しい味がしたもん!」
「…里恵。…そっか、ありがとう。なら、里恵への愛情だけでお母さんやお父さんへの愛情がちょっと足りなかったのかな?」
「……ばか」
あれ!?何で俺、里恵から馬鹿なんて言われたの!?俺、なんか変なこと言ったっけ?里恵が気に病む必要なんてないよって伝えただけなのに。…って、よくよく見たら顔が赤くなってるし、恥ずかしがってるだけ、なのか?
「…済まない、守君。僕が悪かった」
「いやいや!お父さんのせいじゃないですって!そこまで気が回らなかった俺のせいなので。…逆にこっちの方こそすみません。もっとお父さんたちのことも考えるべきでした」
「…それでも、済まなかった。…済まないついでにもう一つ頼みがあるんだが…」
「頼み、ですか?俺にできることなら構いませんが」
「…これ、お昼に食べてもいいだろうか?」
「?それくらいならいいですよ?」
「ありがとう。それじゃあ、僕は部屋に戻ってるよ」
お父さんはそう言い残してリビングを後にした。…どうしたんだろう?体調でも悪かったのかな?
「あらあら〜、嫉妬しちゃって〜」
「…嫉妬、ですか?」
「そうよ〜。娘が彼氏の守さんとイチャイチャしてるんですもの〜。嫉妬くらいするわよ〜」
「イチャッ!?ちょ、ちょっとお母さん!私、別にそんなに守君としてないし!」
…そうだよな?イチャイチャなんていつしたんだろう?
「あらあら〜。仲がいいのはいいことよね〜」
そんな風に言われても、俺には何に対して言ってるのか分からなかった。…俺は普通にしてただけなんだけどな?
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