第94話 ★
〜里恵視点〜
お母さんから許可された私はウッキウキで守君の待っている自分の部屋に戻りました。そして最初は手土産の羊羹を渋っていた守君もお母さんのおかげで説得することができました。これで準備バッチリです!
いざ、守君のお家に!…と思ったとき、守君に止められてしまいました。このままあの子を置いていけないって。
…やっぱり守君はすごいです。私は自分のことしか考えてないのに、守君はしっかり周りのことも見えていて。
私は何とか早く行きたいという気持ちを抑えてその場に座り込みました。守君のお家もご両親もどこにも逃げないことは分かってるんですけど、なぜか落ち着きません。
部長から何か連絡が来てるかもってスマホを見ても、何も変化はありません。それどころか、時間も2分くらいしか経ってないみたいです。
早く早くという私の思いが通じたのか、ついに玄関のチャイムが鳴りました!…来た!そう思った私は慌てて立ち上がりました。そして…。
…守君に見られてるのに気づきました。微笑ましいものを見るような優しい眼差しが私に向いています。
私は急に恥ずかしくなってその場に座り直しました。それからまた行ってくるって守君は部屋を出ていきました。
…その直後でした。女性の声がここまで聞こえてきたのは。…守君はきっとあの場所に行くんですよね?私には怖くて無理だと思うのに。でも、守君はそういう人なんだよね?そもそも私のお母さんに会うのだってきっとすごく勇気がいることのはずなのに。
…私は守君のことを知ってるから、きっと守君のご両親も優しい人たちなんだろうなって予想はできます。それでも、やっぱりちょっとの不安は残るわけで…。
…守君は怖くなかったのかな?…もっと守君のことを知りたいな。守君のご両親と仲良くなれれば守君の昔話とか聞けるかな?
そんな風に考えていた私の意識はいつの間にか途切れていました。疲れていたのか、私は眠ってしまったのです。
そして私が目を覚ますとベッドに横になっていて、部屋の入り口には大好きな守君がいました。…目が覚めてすぐに大好きな人を見れるのは幸せなんだね。
だけど、守君の視線に違和感が残ります。なぜか私を見ないようにしてる?何でだろうと思って周りを見渡すと…あれ?こんな肌色のパジャマなんて持ってたっけ?
……って!何で私、下着した付けてないの!?守君がやったの!?…守君なら、まぁ、いいんだけど。…でも、初めては起きてるときがいいな、なんて。そんな意見を汲んだ神様が私を起こしてくれたのかな?
…だけど、守君じゃないみたいで。ずっと一緒にいてくれるって言葉を最後に、私はまた夢の中に意識を飛ばしました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます