第92話 ★
〜里恵視点〜
…なんて浮かれてたのも守君が帰ってくるまでで。守君はさっきの女の子をお姫様抱っこして戻ってきました。それを見てどうしていいか分からなくなった私は自室に引き篭もりました。
…また、振られちゃうのかな?守君にも飽きられて?…私の何がいけないんだろう?魅力が何もないからかな?
どんどん暗い考えが出てきます。…守君と重ねた時間はまだ少ないけど、それでも守君は私にとって大切で大好きな人なんです。
…守君が彼女を好きだって言ったら、私はどうするんでしょうか?諦めて他の人を好きになれるようにするんですか?それとも、2番目でもいいからって守君の側にいるんですか?
最初に振られたときはあり得ないと切り捨てた選択肢が頭をよぎります。…それでも、やっぱり守君に私だけを見てほしくて。でも、それは叶いそうになくて。
いっそこの世界からいなくなれば何も考えなくてもいいんじゃないか?なんて。…それだけは、絶対にダメなんです。色んな人に支えてもらっているのを実感して、何より守君に助けてもらったこの命を、同じ過ちで捨てるなんてとんでもないです!
…私も、あのときから成長、してるんだよ?もっともっと守君の役に立てるんだよ?…だから、だからさ。見捨てないでよ。
どうしても目に涙が溢れてきます。何度も何度も
…私が辛いときに助けてくれたのは守君です。それでも、もう守君が助けてくれることはないでしょう。私が彼を好きになっちゃったから。守君は親切心で助けてくれたのに、勝手に勘違いした私なんかもう関わりたくないに決まってます。
…そう、思ったのに。守君は私にまた話しかけてくれます。
…やめてよ。余計に寂しくなるだけじゃん。
私はぶっきらぼうに返事をします。こんな面倒くさい女は放っておいて、好きな女の子の方に行けばいいのに。…それでも守君はいつものように私が特別だって。
…ふざけないで!私、守君を信じて待ってたんだよ?…それなのに。どうして私に見せつけるようにあんなことするの!?…せめて、そう。せめて何も知らなければよかったのに。そうすればいつも通りの私でいられたはずなのに!!
私はつい近くにあった教科書を投げつけてしまいました。そのまま諦めてくれればいいのに、守君は私の部屋に入ってこようとしました。
それも一度はっきりと断ったのに、頼むって。…そんな風に言われたら私が断れないこと分かって言ってるの?
…結局折れた私は必死に涙の跡を拭き取って扉を少しずつ開けました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます