第86話 ★
〜里恵視点〜
「その夜はお母さんのおかげもあって初めてRAINしたんだ。緊張したんだけど、すぐに返事もくれて嬉しかったな。…それで話に夢中になって、ちょっと夜ふかししちゃって、次の日は遅刻しそうになっちゃったな」
…だけど、そのおかげで守君にお姫様抱っこしてもらえたんだよね?私は寝てたけど。…頼んだら、もう一回してくれるかな?あと膝枕も!頭なでなでのオプション付きで!!あのときは断られちゃったけど、今ならしてくれる、よね?
「…そういえば、そのせいで葛原君と会っちゃったんだっけ?」
「?葛原君って?」
「…私の元カレ。…まぁ、二股されてたんだけど」
「えっ!?…そんなの私、聞いてないんだけど」
「…ごめんね?でも、もう何とも思ってないから、気にしないで?」
…話せるわけないじゃん。心配されるのを分かってて。
最初はいつ伝えようかとワクワクしてました。私に初めての彼氏ができて、きっと浮かれていたんです。
…違和感は最初のデートです。彼が行きたいというカラオケに行きました。それなのに、彼一人じゃなかったんです。大人数の方が楽しいから、ってことだったけど、そうじゃないって感じが強かったです。だから私は早々に切り上げて帰ることにしました。
その後からです。彼が私に冷たくなったのは。デートしようと誘っても、平気で2、3時間は遅れて、そもそも来てくれないときもあります。デート代も私が全部払っていました。
私の気持ちが冷めるのも当然、ですよね!?それでも、初めての彼氏でそんなこと分からない私はずっと彼に従ってました。…きっとあの日が運命の分かれ道だったんだよね?あのときに別の人とラブホに行く彼を見なかったら、私は守君に出会うこともなく、彼にとっての都合のいい女に成り下がってたのかな?
…なんて、そんなもしもに意味も興味もないんだけどね?…っと、続きも話していくかな?
「…なんて、ちょっと絡まれたけど、学校にはちゃんと間に合ったよ?だけど、朋花の流した噂のせいでみんなが集まってきてなかなか守君と話せなかったな。私のためだって分かってるし、いいんだけどね?」
「…ん?ウチがりーちゃんの噂を聞いたのは最近だったような?やっぱり、一年の教室ではもっと早くに出始めたの?」
「?どうして?今言ってるのは昨日のことだよ?」
「昨日!?それってウチらがまー君に初めて会った日、だよね?」
「そうだけど?」
それ以外に昨日ってあるのかな?らんらん先輩って時を駆ける少女、とか?…そんなわけないよね?
「…まぁ、いいや。お昼に一緒にお花の水やりしたんだけどね?守君はお花にも幸せになってほしいって!すごいよね?私はそんなこと考えたこともなかったから」
「…ああ、いや。ウチにしてみたらりーちゃんの行動力の方がすごいっていうか…」
「ん。積極的」
「はぁ、やっぱりね。水曜日、なんて言ってたからまさかと思ったけど。…そういえば今週は里恵のプレーもブレブレだったよね?」
「…うっ、その。ごめん」
「いやいや、責めてるわけじゃないんだよ?だって今日の里恵、すごかったもん。私じゃ真似できないなって」
「…そう、かな?」
「もちろん。あんなの私に求められても無理」
…莉里須ちゃんならすぐにできるようになっちゃいそう、なんてね?でも、その裏で人一倍努力してるのを知ってるから嫉妬とかはしない。
「よし!それじゃあそろそろ解散にしよっか?りーちゃんも色々準備とかしたいでしょ?」
「えっ?…はっ、もうこんな時間なの!?」
部長の声で私が時計を見ると、なんともう2時30分です。試合が終わったのが12時前だったのを考えるとかなり長い時間が経っているみたいです。…って、私が逃げたからだよね?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます