第85話 ★
〜里恵視点〜
「…えっと、私と守君のことを聞きたいの?」
改めて私が聞くとみんなはうんと頷きました。…それなら、話してあげてもいいよね?隠すことじゃないし。
「…守君は私にとっての光なの。先の見えない真っ暗な状態で見つけたたった一つの光。ずっと私を照らしてくれて、導いてくれた」
…あのまま暗い場所にいたら、きっとここに私はいなかった。何もかもに見切りをつけて全部を諦めて。
「…最初は酷いことも言っちゃったな。私にとってその光は強すぎて、眩しすぎて。助けてくれなくていいって。偽善に私を巻き込まないでって。そんなこと言われたら普通怒るよね?…でも、守君はそれでもいいって。例え偽善でも、それで助けられる人がいるならするって」
…思えば、そのころからもう守君が好きだったんだよね?…いや、やっぱり当時は依存に近かったかも。不意に無くなった支えの代わりに寄りかかってただけ。
「それから守君は私を家まで送り届けてくれて、そのままお母さんとも話して仲良くなって。…それが水曜日」
「ん?」
「?どうかしたの?」
「…いや、何でもない。続けて」
「変な莉里須ちゃん。…まぁ、いいや。次の日には朝から守君と会えるってことで早くに目が覚めちゃって、ずっとソワソワしてたな。守君もちゃんと来てくれたし、笑ってる方が可愛いよって。あとあと、私をずっと笑顔にしてくれるって!!」
あの言葉は嬉しかったな〜。顔がニヤけないように抑えるのが大変だったよ〜。
「…それなのに、守君はすぐにどっか行こうとするし、話すのも止めようって!酷いよね!?」
「あっ、そのときはまだ仲良くなかったんだ」
「だから私はヤダって言って、守君と仲良くなったんだ。名前呼びもそのときだったな〜」
「…うそ〜ん。まさかウチの予想の遥か上とは。…りーちゃん、恐ろしい子!?」
らんらん先輩が何か言ってるけど、無視です。結果良ければ全て良し、なんです!…なんて、私でも少し強引だったことは分かってます。でも、そのときの私はどうしても守君と離れたくなかったんです。
「それから一緒に帰ってお寿司を食べて、えっちも誘って」
「ゴホッ!!」
「ちょっ、莉里須ちゃん?大丈夫?」
「大丈夫?…じゃないわよ!!!何してんの!?」
…?私、何か変なこと言ったかな?好きな人とそういうことをしたいって気持ちになるのは当然だよね?
「何か変かな?って顔してんじゃないわよ!2日目でいきなりそんな。…里恵ってビッチなの?」
「んなっ!いくら莉里須ちゃんでもそれは許せないよ!初めては守君って決めてるんだから、まだしょ「ちょっ、ま,待って!」…って、るんるん先輩?」
…試合のときくらいしか声を荒げないるんるん先輩が大声を出した!?
「あっ、その。…ここ、ファミレスだから、もう少し声、抑えたら、なんて」
「!……確かに。るんるん先輩、ありがと」
「…そうね。確かにこんなところでする話じゃなかったわ。ありがと先輩。…それと、ごめんね里恵」
「ううん。莉里須ちゃんは悪くないよ。私が不注意だっただけ。…まだ、続ける?」
「もち!私たちから逃げたりーちゃんへの罰なんだからね!」
「…分かったよ」
…どうやら、まだ部長からは逃げられないみたいです。
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