第84話 ★

〜里恵視点〜


 私はジッと息を潜めてみんなを観察しています。付かず離れずの距離を保ちながら、会話が聞こえるくらいの距離まで近づいています。


 「あ〜、もう!りーちゃんはどこに行ったのよ!!」

 「…ん。疲れた」


 …そろそろ、鬼ごっこも終わりかな?私の勝ちで、ね?


 「じゃあ、ちょっと休憩しますか?…ついでに、里恵を捕まえましょう」


 …莉里須ちゃんは何か思いついたみたいだけど、そう簡単に私は負けないよ?


 「なになに?ゴンちゃんは何か思いついたの?」

 「まぁ、そんなとこです。最強の助っ人を頼りましょう!」

 「おぉ、助っ人!ウチらも知ってる人?」

 「もちろんです。さっきまで一緒にいたでしょ?」


 …さっきまでって、それってまさか!?


 「…まー君?」

 「その通り。さっ、エイト行こっ?」

 「ちょ、ちょっと待ってよ!」


 私は慌てて飛び出しました。守君に迷惑なんてかけられません!


 「あっ、出てきた!」


 私はあっという間にみんなに囲まれていました。正直、ちょっと怖いけど、ここで逃げるわけにはいきません!守君に迷惑がかかることに比べたら、このくらいへっちゃらです!


 「まぁ、普通に飲み物でも買いに行こうと思っただけなんだけどね?運良く守君と話せたら里恵も嫉妬して出てくるかなって。その前に出るのは予想外だったけど、そこまで守君のことが好きなんだ〜」


 …莉里須ちゃんはニヤニヤしながらそう言いました。もしかして私、早とちりしちゃっただけ?…確かに、みんなが守君の迷惑になることをする、なんて想像できないけど。


 そう分かってももう遅いです。四方を囲まれて正面には部長。…流石に逃げられません。そして、そのままファミレスに行き連行されました。


 「さっ、まずはご飯食べよ〜!」


 そう言ったのは部長。私は一番奥の角に座らされてます。…もう、普通になったかな?


 そんな希望的観測は料理が運ばれてきた時点で崩れ去りました。


 「で?里恵は守君のどこが好きなの?」

 「ふぇ!?」

 「そうそう!りーちゃんはまー君をどうして好きになったの!?」

 「ひゃ!?」

 「ウチらも気になってたんだ。ねっ?」

 「…ん。興味、ある」

 「あの、えっと、はい!」

 「ふぁ!?」


 …みんなが私を見ています。ニマニマと、興味津々と。よく考えれば、みんなが手にしてるのはなぜかブラックコーヒーです。あの甘党のりんりん先輩まで!

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クラスメイトが理不尽に振られる場面を目撃した俺、慰めたらすごく懐かれた。〜〜なお、振った彼は後悔しているがもう遅い。彼女は俺の横で幸せにするので〜〜 @cowardscuz

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