第76話
「ただいま〜」
「お帰りなさい。ご飯はいらないのよね?」
「うん。シャワーだけ浴びたらすぐまた行くよ。今日は彼女の家に泊まるから」
「そう。分か……えっ?ちょ、ちょっと待ってちょうだい?聞き間違いかしら?」
自分の家に帰ってきた俺は母さんに今日は里恵の家で泊まることを伝えた。母さんは戸惑ってた。そういえばまだ里恵の彼氏になったことは連絡してなかった。
「…行く前に言ったでしょ?好きな人がいるって。その子と付き合えることになったんだ」
「…なる、ほど?…いやいや、それで付き合った初日からお泊まりとかって早いんじゃない?」
「…うん。俺もそう思うけど、それを里恵が…俺の彼女が望んでるから。それに…俺も楽しみではあるんだ」
「…そう。守がそこまで言うなら、もう反対はしないわ。だけどこれだけは覚えておいて。…何か間違いがあった場合に傷つくのは女の子の方なんだからね?」
傷つくのは里恵の方、か。そんなの、意地でも間違いを起こすわけにはいかないよな?絶対に里恵を悲しませない。
「…うん、分かってる」
「なら大丈夫ね。楽しんでらっしゃい。あっ、そうそう。それじゃあまた近いうちに彼女さんを連れてらっしゃい。母さんも会いたいわ〜」
「分かったよ。明日にでも連れてくるから」
「…えっ?あ、明日?そんなに急がなくてもいいのよ?」
「いや?里恵も母さんに会いたがってたし、ちょうどいいよ」
本当は今日の予定だったけどね。里恵が寝てなきゃ今頃はここに里恵もいたはずだから。
「…はぁ〜。せめてもうちょっと早く伝えてほしかったわ〜。今からじゃ何も揃えに行けないじゃない。…午後!明日なら午後からにしてちょうだい。それまでに母さんが準備してるから」
「分かった。じゃあ、2時くらいまでは時間潰してるから」
「ええ、そうして。それと、彼女さん、里恵さんだっけ?の好きなものとかって何かしら?」
里恵の好きなもの、か。お寿司が好きなんだよね?他に好きなものって…?
「…俺、とか?」
「……あ〜、はいはい。惚気は分かったから」
「あっ、声に出てた?とりあえず、お寿司なら間違いないよ」
「それなら、お昼はちょっと待ってもらっていい?1時くらいに準備しておくから、その頃に来て」
「了解」
そうして俺はシャワーをして、着替えを持って家を出た。そうして里恵の家に向かう、前にコンビニに来た。彼氏が彼女の家にお泊まりするための必須アイテム。それを買いにきた。念のため、御守り代わりにだけどね?まだ今回は使うつもりはないよ、本当だよ?
俺はこっそりととあるゴムを手に取った。そしてすぐにレジに持っていき、爆速で会計を終えた。これで準備は万端、だよな?
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