第57話
「あれ?まー君と藍ちゃん?2人とも知り合いだったの?」
俺の願いが届いたのか、かなかなさんが近づいてきた。
「ん〜?どう思うの?」
「…藍ちゃんがそこまで言うなら知り合いなんだろうね。藍ちゃんが男の子とあんなに楽しそうに話してるのは見たことないし」
「だってよ、まー君?」
「…は、はは、俺と藍野さん「希ちゃん!!」…希ちゃんは初対面ですよ?」
「え〜、うっそだ〜」
…かなかなさん、お前もか!俺に味方はいなかった、のか!?
「…まぁ、もう用事は済んだからそろそろ帰るよ。じゃあね、まー君、かなかな」
それだけ言い残して希ちゃんは去っていった。そして渡された紙に書いてあったのは住所らしき情報と日時。今夜、この場所に来いってことかな?もちろん無視することもできる、けど、なんか大変なことになりそうな予感がする。…行くしか、ないか。
…って、結局何も買ってくれなかったじゃん!
「…ねぇ、守君。さっきの可愛い子は知り合いなの?」
「ううん、初対面」
「…ホントに?…なんて、私が口出しできることでもないんだけど、なんかちょっと寂しいな、って」
希ちゃんとちょうど入れ替わるように里恵が声をかけてきた。かなり複雑そうな表情をさせちゃって申し訳ないけど、俺にも回避できないことだったよね?
「…大丈夫だよ。俺の一番は里恵なんだから。…なんだけど、ちょっと呼び出し受けちゃってね」
「…それって、やっぱりそういうこと、なんだよね?…ふぅ、はぁ。よし!…その、突然こんなこと言われるのは迷惑だと思うんだけど、えっと…」
その雰囲気だけで、里恵が次に何を言うのか理解できた。だけど、それを女の子の方から言わせるなんて、カッコ悪すぎる。…いや、俺の方から言いたい。きっと同じ気持ちのはずだから。
…それに、何となく告白とかじゃないような気がする。希ちゃんは全く本心を出してないように感じる。どこか演技してるというか、周りが思い描く理想像の自分を重ねているような。さっきのは男に好かれる自分を的確に表現してたような気がする。
「…ちょっとだけ待ってね」
「わ、私は守君のこ、と…が…。えっ?…やっぱり、ダメなの?」
「…今はちょっとね?周り、見てみ?…ちゃんと聞くから」
…まぁ、どっちかと言うと聞いてもらう、なんだけどね?それに、今はかなかなさんたちが興味津々という感じで俺たちを見てるから利用させてもらった。
「ふぇ?…あっ!…でも、私本気なの!…あなたが好きです。この世界の誰よりも」
…だけど、俺は里恵の気持ちを軽視してたのかな?このまま待ってくれるはずだと思ってた。
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