第55話 ★
〜華菜視点・回想〜
それから1年間は色んな人に頼み込んでバスケをさせてもらった。バスケの同好会に参加させてもらったこともあれば、他校の部活に無理を言って参加させてもらったこともあった。
そして、あっという間に2年に進級していた。このまま続けていくのも楽しそうだと半ば諦めてた私にバスケをしようと声をかけてくれた人がいた。それが五月雨さんたちだった。彼女たちは私と同じ中学で、入れ替わるように私が抜けたから3ヶ月くらいしか一緒にやれなかったけど、幼馴染で息の合った連携は流石だと思っていた。
…なんでこっちに来ちゃうかな〜?バスケ部がある別の高校にすればいいのに。この学校に入学できたなら、周りの高校も大体入れるはずなのに。
「まさか、何でなんて思ってる?」
「ん、愚問。そんなの決まりきってる」
「あ、その。私たち、先輩と一緒にバスケ、したいんです」
「…みんな。…よし!やろう!」
そうして私たちは4人になった。まだ正式に試合に出たりすることはできないけど、今までのように他のチームにお邪魔することもあれば、自校でも練習できるようになった。
他の新入生はバスケはちょっと…って人が多かった。ずっと走り続けなきゃいけないし、仕方ないよね。でも、ようやく形になってきた。顧問は私の味方をしてくれた倫理・道徳の先生にお願いすることができた。ルールをよく知らないってことだったけど、私たちがバスケ部を作りたいならって協力してくれた。
そうしてあっという間に3年生。これからのことがどうなるか分からないし、もしかしたらバスケ部最後の年になるかも。…もう一回くらい、公式戦に出たいな。
…そんな思いが通じたのか、何と一年生が2人も入部してくれることになりました!これで全部で6人になって、ギリギリ試合に出れる5人を超えました!!それに、私が抜けた後も5人は残って続くことが有望です!…私の憧れたバスケ部復活です!
私はすぐに今までお世話になったところに練習試合の打診をしてOKを貰いました。そして試合の当日、みんなは頑張ってくれたけど、やっぱり負けちゃいました。分かってたこととはいえ、やっぱり悔しいです。私がもっと上手にできたら、チームとしてまとまってたら結果が違ったんじゃないかと思います。
「あーー!負けた、悔しい!!次は絶対に勝つ!!」
「…うん、次は負けない。もっと練習、頑張らないと」
…もしかしたらこのまま退部しちゃうんじゃないか、なんて思ってたのが恥ずかしいです。まずは私が距離を詰めないと!
「…うん!これからも頑張ろうね、ゴンザレス、にぃにぃ!」
…アレ?あんまりいいのじゃない?可愛いと思うのに…。莉里須ちゃんにはなんとか納得してもらったけど、里恵ちゃんには断固拒否されちゃった。
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