第48話 ★
〜里恵視点〜
それからどうしたのか、ほとんど覚えてません。私はなぜか学校の外に出ていて、部活のみんなと一緒に歩いています。でも、今の私は私じゃないような感覚があります。みんなが何を話しているのか分かりません。それに対して私は言葉を返しているのですが、何を言っているのかすら理解できないのです。
だけど、やっぱりそこから引き上げてくれたのは、私の大好きな優しさに満ちた声でした。私が彼を間違えるはずがありません!たとえどんな状況でも、守君の声だけは私にはっきりと届くのです!!…どこからか、起きなかったじゃん、と聞こえたような気がしましたが、どういう意味なんでしょう?
だけど、私の体はまたしても勝手に動きます。これは原因も分かっています。本当なら考える力なんてないはずの細胞一つ一つが守君を求めるのです!!
なんて、私の中にわずかに残った理性が考える意味があるんでしょうか?完全に理性を消して本能に従った方がいいような気がします。もう守君に抱きついて、心情を全部
…でも、守君はずるいんです。私が理性を飛ばすよりももっと早くに私をフリーズさせるような嬉しい言葉を言ってくれるんです。私だからなんて、どんな風に思われてるのか分からないけど、でも他の人とは違うんだって、勘違いしてもいいんでしょうか?
…なんて話してると、部長が声をかけてきました。そ、そういえば、ここは学校を出てすぐの場所なんでした!?か、完全に忘れてました!ど、どうしましょう!?え〜っと、う〜んと……。
……あれ?私、何してたんでしたっけ?ここは…学校?…はっ、そうでした!!守君に迷惑かけてしまってどうすればいいのか考えてたんです!…そんなことより、なんか部長と守君の距離が近すぎませんか!?
私はダメ元で離れるように言いました、が、やっぱり全く効果がありません。どうしてか部長が相手ではペースを乱されると言うか、いつもはぐらかされてしまいます。今日もそうです。いつの間にか自己紹介が始まっていて、私が邪魔するわけにはいかなくなってしまいました。私の好きな人と友達が仲良くなるのは嬉しいけど、ちょっとだけ心配です。みんな私よりもずっといい人たちで、私なんかよりも守君の隣にお似合いだと思います。
…もし、守君に好きな人ができたら?ちゃんと祝福してあげたいのに、上手くできる自信がありません。私はどうすればいいんでしょうか?
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