第47話 ★

〜里恵視点〜


 放課後、今日も部活があります。私も全力で頑張っています!いつか守君に褒めてもらえるように…。


 「里恵ちゃんは気合い入ってるね〜。これなら明日も勝てるかな?なんちゃって」

 「えっ、明日?……あっ!」


 どうしよ〜!?完全に忘れてたんだけど〜〜!!?そ、そうだった、明日は練習試合があるんじゃん!!私は部長に言われるまで全く気がつきませんでした。


 「あっ、って。忘れてたの?」

 「ご、ごめん!」

 「ま、いいんだけどさ」

 「ゴンちゃんは心配しすぎだよ〜。いくら里恵ちゃんが心配とは言っても」

 「なっ!べ、別に心配とかじゃ…」

 「ないの?」

 「うわっ!り、りん先輩?い、いつから」

 「ん?里恵ちゃん気合い入ってる、のとこ?」

 「最初じゃないですか!?」


 …って、なら今夜はもしかして…。


 「じゃあ、この後はファミレスでいい?里恵ちゃんは予定があったり、とか?」


 やっぱり!試合の前には親睦を深めるってことでご飯を食べに行こうとなってるんだった。…でも、守君に伝えられてないし、もしかしたら待たせちゃってるかも…。でも、部活のみんなとの時間も大切にしたいし…。けど、守君と一緒に帰りたいな…。


 「…多分大丈夫。ちょっと連絡してみるね」


 私は今日は部活の仲間とのご飯を優先することにしました。みんなとは、特に部長とは残り少ししか一緒にいれません。私を暖かく迎えてくれたみんなも大事な友達なんです。


 「…あれ?ない、ない!」

 「里恵ちゃん?どうしたの?」

 「どうしよう、スマホ、置いてきちゃったみたい…」

 「まぁ、大変!なら、まずはみんなで里恵ちゃんのお家に行きましょう?それから予定が大丈夫なようなら一緒にご飯に行きましょう!」


 …私のミスです。朝バタバタしててちゃんと確認しなかったせいです…。こうなったら、直接伝えるしかありません。私は急いで図書館に向かいました。…しかし、一足遅くて守君はすでに帰ってしまいました。


 …このまま、守君に嫌われちゃうんでしょうか?もう話せなくなって、隣にいることもできなくなっちゃうんでしょうか?そんなのは嫌です、けど、どうしようもありません。


 …っと、こうしてはいられません!まずは部活のみんなと合流して、それから守君がまだ学校に残ってるか下駄箱で確認しなくちゃ!もし守君がまだいるなら、何としても見つけて謝らなくちゃ!


 …でも、守君の靴はもう残ってませんでした。きっと先に帰っちゃったんですね。…うん、これで良かったんです。守君に迷惑をかけないで済みそうです。……確かに、そう思ってるのに。思わなきゃ、いけないのに、どうしてこんなに悲しくなるんでしょうか?胸の奥が、苦しいです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る