第46話 ★

〜里恵視点〜


 そう決意しても、やっぱり時間はずっと前に進んでいて、すぐに授業の始まりの時間です。結局守君に迷惑かけないように言うことはできませんでした。でも、守君は私と一緒に居て楽しいと言ってくれました。私が舞い上がって教室にいることを忘れて守君に抱きつこうとしたとき、始業のチャイムが鳴ったのです。


 …どうして私はこんなんなんでしょう!?勝手に暴走して他の誰よりも守君に迷惑をかけて…。やっぱり、私なんかじゃ守君と対等になれないのかな?守君からしたらまだまだ子供で、手のかかる存在だと思われてるんだろうなぁ…。


 それでも、守君は“また”を許してくれます。迷惑かけてばかりなのに、私が隣にいることを許してくれるんです。それがすごく嬉しくて、でも同時にすごく寂しいんです。今は私が守君に頼ってるだけ、優しさに甘えてるだけです。だけど、いつかは守君にも私を頼ってほしいんです。…だから、私も私で今できることをします。それが、お花の水やりです!


 昨日からずっと考えてました。お昼休みを守君とおしゃべりしながら過ごすにはどうすればいいのか。簡単なことです!守君のお手伝いをすればいい!そうすれば私は守君と話せて、守君に頼られる第一歩になる、かも!それに、初めての共同作業ができる!!まさに一石三鳥のすごい計画なのです!


 作戦は思いの外すんなりと成功しました。守君と一緒だとやっぱり嬉しいです。このまま次のステップに、そう、おしゃべりに繋げるのです!…やっぱり、お花のお話がいいのでしょうか?守君はお花にも優しいんですね?私よりももっと長い間ずっと守君から愛情を注いでもらってきたお花にほんのちょっとだけ嫉妬もしてしまいます。…っと、これから私が守君の一番になれるように努力すれはいいだけです!


 …だけど、そんな風に考えるのが申し訳なくなるくらい、守君は立派な考えをしていました。お花にも意思があって、少しでも快適に過ごしてほしいから、なんて。…きっと守君は無意識にそう言ってるのかもしれないけど、私がお花だったら絶対に守君に惚れてますよ!やっぱり、お花もライバルなんじゃ…?


 …でも、今は私も守君と一緒にお花のお世話をしています。それって、実質私たちの子供と言っても過言ではないのでは!?そう考えると子沢山です!!こっちのピンクは女の子かな?こっちの藍色は男の子?こっちは女の子、この子も女の子、次は男の子かな?…守君はどのくらい子供がほしいって思うのかな?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る