第37話
「…ねぇねぇ里恵ちゃん!この人って里恵ちゃんの彼氏なの?」
「ふぇっ!?」
と、そんな風に抱き合っていると里恵さんと一緒にいた内の1人が話しかけてきた。その表情には“興味あります!”とはっきり書いてあるような気がした。…って、他の4人も俺たちに注目してるし!
聞かれた里恵さんは…固まっていた。さっきまで楽しそうに一緒に話してた人を忘れてたのかな?
「…え〜っと、付き合ってはないよ。まだ、ね」
「そ、それって!」
「ふふっ、想像にお任せしようかな?」
目をキラキラさせて身を乗り出してきたのはさっき話しかけてきた女の子だ。きっとこの子がムードメーカーなのかな?
「「「キャ〜!!」」」
それだけで女の子たちは手を取り合って飛び跳ねた。…やっぱり女の子は恋バナ好きなんだな。
「あのあの!彼氏さんに質問です!!出会いはどんな感じでしたか!!?」
「…それは言いたくないな〜。やっぱり出会いって特別なことだからね?普段のことなら教えてもいいんだけど…って、君たちの方が知ってるか」
…出会いは決していいとは言えないから。里恵さんが自分で話すならいいけど、俺が勝手に言いふらしていいわけがない。
「またまたご謙遜を!じゃあ、休日はどうやって過ごしてますか!?明日明後日の予定は!?」
「…残念だけど、まだ一緒に休日を過ごしたことはないんだ。明日からも俺がバイト入っちゃっててね」
まだ知り合って3日目だからね。休日はまだ経験がないな。だけどそれを伝えるのも里恵さんがチョロいんじゃないかと思われそうで気が引けた俺はそう答えた。嘘じゃないしね。
「そう、なんですか?私なら好きな人と一緒に過ごしたいって我慢できなくなりそうです…」
「確かにそうかもね。でも、里恵さんと会うよりも前からずっとお世話になってるし、俺を頼ってくれる人もいるから」
…それに、里恵さんと過ごす時間が取れないわけじゃないしね。今までも暇だからって理由でバイトを続けてきたし。
「…しっかりしてるんだ。じゃあ、最後の質問。…里恵ちゃんをどう思ってるの?」
そこで女の子の雰囲気が一変した。嘘を吐いたら許さない。そう言われてるみたいだった。
「そう、ですね。…守りたい人、でしょうか?どんな些細なことでもしてあげたい、幸せそうに笑ってる顔を見せてほしい、ずっと側に居たい。そんな人です」
「…そっか。うんうん!里恵ちゃんはいい人を見つけたんだね!」
「そうですかね?…そうだと、嬉しいです」
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